Myゴルフダイジェスト

【名手の名言】ダレン・クラーク「相手はコントロールできない」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、現在シニアツアーで活躍する名手、ダレン・クラークの言葉をご紹介!

2011年に悲願のメジャー初優勝を果たしたダレン・クラーク


相手はコントロールできない

ダレン・クラーク


現在シニアツアーで活躍し、2022年7月には全英シニアオープンを制したダレン・クラーク(54)。

レギュラー時代は欧州ツアーを主戦場に、世界ゴルフ選手権(WGC)2勝、日本ツアーでも3勝を挙げた名手だが、メジャータイトルにはなかなか手が届かなかった。

そんなクラークがメジャー初優勝を果たしたのは、2011年の全英オープン。20回挑戦して、ようやく辿り着いた栄冠だった。

最終日、米国のフィル・ミケルソンの猛追にあった。ミケルソンは2、4、6番でバーディ、7番ではイーグルをもぎとり3組後ろを回る首位のクラークに並んだのだ。

この時の心境を優勝インタビューで述べたのが表題の言葉だ。

誰がどんなスコアを出そうと、自分にはどうすることもできない。できるのは自分がベストと思うプレーをすること。もし自分のベストより相手のベストが上回ればそれは仕方のないことだ。“自分のゴルフ”とはそういうことなのである。

とはいえ、この心の持ちようはそんなに簡単ではないことは、歴史が証明している。相手を意識して自分のゴルフができなくなり、苦杯をなめるシーンは枚挙に暇がない。

しかしこのときのクラークは、緊張しすぎもせず、リラックスしすぎもせず、自分のゴルフを展開。終わってみれば2位のミケルソン、ダスティン・ジョンソンに3打差をつけ、悲願を達成。クラレットジャグ(優勝カップ)とともにビールの杯もかかげた。

「相手はコントロールできない」。このマインドは、何もゴルフに限ったことではなく、仕事や日常生活でも同じことが言える。「あの人はいつも……」とコントロールできない人やものごとについて嘆くよりも、自分は自分のベストを尽くすことを考える。「自分はいつでも変えられる」。42歳でメジャー初制覇を達成した男の言葉には、そんなニュアンスも含まれている。

■ダレン・クラーク(1968~)

北アイルランド出身。90年プロ入り。93年ダンヒルカップ優勝をきっかけに欧州ツアー11勝。世界ゴルフ選手権2勝。2011年、42歳のときに全英オープンで悲願のメジャー優勝を飾る。親日家で日本ツアーでも中日クラウンズ、VISA太平洋マスターズなど3勝。酒が好き、陽気で奔放な性格で人気がある。実生活では06年に夫人を亡くし、男手で男児2人を育てた。