【渋野日向子プレス/再録②】台風19号に翻弄された「スタンレーレディス」で強さの秘密がわかった。スタンレーレディス
「みんなのゴルフダイジェスト」のプロゴルファー・中村修が渋野日向子のプレーに密着した週刊ゴルフダイジェストの人気連載を再録。2回目は台風19号の影響で2日目のプレーが中止された「スタンレーレディス」。27ホールの短期決戦となったこの大会で、改めて”しぶこ”の強さの秘密が分かりました。
最終日にチャージ!
“修整力”の高さに強さの秘密が見えた
国内女子ツアー「スタンレーレディス(静岡県 東名カントリークラブ)」は、大会期間中に大型の台風19号が直撃するとの予報が出ていました。短縮や中止もあり得るなかでどんな展開になるか、今回も渋野日向子選手に密着してきました。
大会初日の渋野選手は、アプローチでカップを大きくオーバーしてのボギー発進。
3番ホール(パー5)でもアプローチをオーバーさせてバーディを逃すなど、アプローチの距離感に不安を感じさせる出だしでした。
最終18番(パー5)でも3オンを逃して花道からのアプローチを残しますが、ここはキッチリ寄せてパー。前半の教訓を生かしてラウンド中に修整してきたという意味で、非常に大きなパーセーブだったと思います。
この日はショットの調子は決して悪くはなさそうでしたが、前週よりは若干ドライバーが曲がってフェアウェイをとらえられないシーンが目立ちました。
しかしラフからのショットは抜群に上手く、曲げたところからもチャンスを作れるショット力を見せました。
とくに9番ホールの右ラフからの2打目は、バーディこそなりませんでしたが、本人が「あれは上手く打てました」と自画自賛するほどのナイスショット。
インパクトを強く作らずサラッと振り抜けるのが、ラフから距離感が合う秘訣でしょう。
この日は昼ごろから天気が荒れ、渋野選手の組も10番からは土砂降りの雨のなかでのプレー。17番では40分の中断を強いられました。
風も強まったり弱くなったりと、かなり難しいラウンドだったと思いますが、しっかり1アンダーで終えるあたりはさすがです。
翌2日目は台風の直撃により中止。渋野選手も「ホテルの部屋から一度も出ませんでした」とゆっくり休養できたようです。
翌日のインタビューでも「昨日は何をして過ごしましたか?」との問いに、「(携帯ゲームアプリの)『どうぶつの森』をやって癒されました」と渋野節がさく裂し、記者の笑いを取っていました。
こういうところでストレスを溜めないのも、渋野選手の強さの秘密かもしれません。
最終日は台風一過の好転でしたが、朝からコースのメンテナンスに時間がかかったため、9ホールに短縮されました。
しかも安全面を考慮してギャラリーを入れないというツアー史上初の無観客試合。
渋野選手も試合後に「ステップアップツアーみたいで懐かしいけれどさみしい。私はやっぱりギャラリーさんがいたほうが燃えるし楽しい」と語るなど、最終日とは思えない異様な雰囲気の中でのプレーとなりました。
この日はスタートホール(10番パー3)からなんとチップインバーディ。16番パー3でも、グリーン奥からチップインを決めるなど、初日とは別人のようなアプローチ。
ホールアウト後に話を聞いたところ「今までよりもボール位置を左寄りにしてエースを開いて打つようにした」とのこと。
初日のミスを踏まえて、インパクトが強くならずに少しフワッとした球が出るようにしたということです。
今週は青木コーチが帯同していませんから、これを自分の判断で行い、しかも試合中に修整して結果を出したということ。
トッププレーヤーとしての自覚や成長を感じさせる出来事だと思います。
最終日の渋野選手は4バーディ・ノーボギーの32で回り、この日のベストスコアを叩き出しました。
優勝は初日に7アンダーで飛び出し、最終日も1つスコアを伸ばしたファン・アルム選手。
渋野選手もさすがの爆発力を見せましたが、9ホールでは逆転までは及ばず、トータル5アンダーの6位タイで試合を終えました。
3日間フルにプレーできていればという悔しさもあると思いますが、アプローチを修整して、しっかりとベスト10フィニッシュを果たし、賞金ランキングトップのシン・ジエ選手との差を詰められたので、大きな収穫のあった試合といっていいと思います。
渋野選手は次週の富士通レディースは欠場の予定。
しかし、このお休みの間、今大会で上積みのあったアプローチの調整を行うとのことですので、次戦のマスターズGCレディース、そして以降の終盤戦が非常に楽しみです。
週刊GDより
寒い冬は、沖縄であったかゴルフ!