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【プロキャディという働き方】#1「大雨でもコースへ」「プロが目の前の一打に集中できるように」

選手の隣でバッグを担ぐプロキャディ。彼らの仕事はクラブを運ぶだけではない。コースを把握し、戦略を立て、芝を読み、アドバイスも行う。時にはキャディの存在が勝敗を分けることもある。そんな重責を担うキャディの実態に迫った!

PHOTO/ Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara

湯本開史(25・写真右) 比嘉一貴らと同じ2018年プロテスト合格。黒宮幹仁プロコーチに師事し、当時チームにいた松田鈴英のバッグを担いでキャディデビュー。岩﨑亜久竜とはジュニア時代からの友人で、岩﨑に黒宮コーチを紹介。それ以来彼のキャディを務める

スタートの3時間前にはコース入り

岩﨑亜久竜などのキャディを務める湯本開史さんは、自身もプロゴルファーであるが、キャディをやってみて、考え方が変わったという。

「選手と一緒に戦っていると、自分のこと以上に応援したい気持ちになるんです。だから早朝から毎日コースチェックをするし、やれることは何でもやる。月曜日や火曜日が大雨で天気が悪いと、選手はコースに行かないこともありますが、キャディは必ず行くようにしています。

事前にコースやグリーンをとことん調べて、選手からの疑問・質問にすべて答えられるように準備することはもちろん、それ以上に選手のプレーをどうやったら生かせるかを考えています。あと大事なのは自分がミスをしたときは素直に『ごめん』と謝ること。ミスの原因をハッキリさせずにうやむやにしてしまうと、次につながらないし、心理面でも選手に負担をかけてしまう。目の前の一打に集中させて気持ちよくプレーできるようにするのがキャディの仕事だと思っています。自分がプレーヤーだったとき以上に、キャディの存在の大きさを実感しています」

選手よりも早く来て毎日コースチェック

ヤーデージブックにメモを書き込むのは問題ないが、今年から他の選手やキャディから得た情報を書き込むことは禁止された。書き込んでいいのは選手とキャディが目で見たり感じたことのみ。これまでは、キャディ同士で役割分担をしたり情報共有することもあったというが、現在では全ホールを自分たちで見て回り、細かくチェックする必要がある(写真:本人提供)

選手との雑談も大切な仕事のひとつ

「コースや風などの情報を提供するのはもちろん、会話をして気持ちを盛り上げるのも大切な仕事。ラウンド中、選手はキャディしか仲間がいない。選手がイライラするような場面があったら、悪い流れを引きずらないため、次のプレーまでに気分転換できるように明るく話しかけたりもします。選手によって性格も違うので、話しかけるタイミングや話題はいつも変えています」

今年から水準器の使用が禁止に

今年から「傾斜を読むのも技術のうち」と水準器だけでなく、18ホールのグリーンとその周辺の距離や形状、起伏、速さや風の影響といった情報が詳細に記された「グリーンブック」の使用が禁止になった。湯本キャディはプロゴルファーとして「エイムポイント」を習得していたので、何もなくても傾斜を正確に読むことができる

さらに深堀り!

Q. キャディとしての報酬は?
A. 週給11万円(交通費、宿泊費込み)+賞金の10%がボーナス
基本給は予選落ちしても定額。「ボーナスがないと厳しいので、先輩キャディの方から安い宿の見つけ方などを教えてもらっています(笑)」

Q. コースを出ても選手と一緒?
A. 食事も宿泊も別、選手との食事は週1回行くかどうか

「基本はコース内のみの関係です。練習日は選手やキャディ仲間と外食することもありますが、試合中は部屋で食べることが多いです」

Q. キャディバッグの重さは?
A. 軽い日でも15kg以上

クラブのほかにも飲料や食べ物、予備のウェアなどを詰め込んだバッグは重く、担いで18ホールを回るのは重労働。日頃から体を鍛えている

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月29日号より