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【世界基準を追いかけろ!】Vol.111 弾道を“3D”で見られるジュニアは強い

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回のテーマは、球筋の打ち分けや持ち球について。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD ジュニアを教える時に、ドローとフェードの打ち分けや持ち球についてどういうふうにアドバイスをするのですか。

黒宮 僕はよくジュニアの子に対して、「弾道ってどうやって見ている」と質問をします。大抵の子は、「球が真っすぐ行くか行かないかを見る」と返答するんですが、それは要するに弾道を2Dでしか見ていないことになります。

GD 縦方向のビジョンだけしか見ていないというのでは、ダメなわけですね。

黒宮 今のジュニアを見ていると、真っすぐ飛ばすことが上手い子はいくらでもいます。でも試合では、真っすぐ飛ばない子のほうがスコアを出すということもあるわけです。

目澤 ゴルフ場は平らな所ばかりじゃないですからね。

黒宮 着弾地点のフェアウェイの傾斜に対して、フェードやドローで当てたりするイメージを出せるようになるには、3D的な見方ができないといけない。マスターズのオーガスタナショナル(※)などは、フェアウェイも平らなところは少なく、その典型的なコースですよね。


目澤 オーガスタも、実際に本当にドローが必要なホールって限られているんですよ。どんなイメージでティーショットを打つかが大切になる。

GD そういうことが分かるのも、3D的な見方ができるかどうかが関係してくるわけですね。

黒宮 練習場は平らなので、真っすぐに飛ばせられればいいんですよ。でも、コースでは着弾してからボールが止まるまでちゃんとイメージできないといけない。そのためには落下角度とかも自分で分かるような横側からの弾道のイメージができないといけない。そのイメージができて、初めてドローやフェードの曲がり幅のコントロールとかもできるようになるんです。

GD そういう3D的な見方ができるジュニアが、稀に出てきているということですね。

黒宮 そういった3D的視点を持っているのが石川遼です。彼に話を聞いた時に、ショットも全てアプローチみたいに考えていると言っていて、非常に面白かったです。調子が良い時はティーショットを順目に落とすのか、逆目に落とすのかを考えて打っていたそうですから。

GD グリーン周りなら考えそうですが、ショットでもそんなことを考えているわけですか。

黒宮 アマチュアの試合の時はフェアウェイの幅が広いので、適当に打っていても止まりますけど、プロの試合のフェアウェイは狭いうえに短く刈り込まれているので、傾斜に対して上手く“当てこまない”と球を止められない。当然、スピン量の計算もありますしね。そのような話をした時に、全部アプローチのように考えているんだなって思いましたね。

GD 3D的視点で弾道を見られる子は、曲げる球を繰るのも上手いんですか。

黒宮 横からの映像が分かる子は、スウィングの最下点やフェースアングルの安定などを考えるようになるので、上達が早いですね。

(※)オーガスタナショナルはドッグレッグが多いコースだが、右ドッグレッグは18番ホールのみ。一方、左ドッグレッグは、2番、5番、8番、9番、10番、13番と右ドッグに比べてかなり多く、それがドローヒッター有利と言われる理由

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに。2022年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月15日号より