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【PGAツアーエキスプレス】Vol.17 ローリー・マキロイ3度目の年間王者の秘密はパッティング。「ストロークだけに集中できている」

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第17回は、前人未到の3度目の年間王者に輝いたローリー・マキロイのパッティングについて。

PHOTO/Blue Sky Phots

ローリー・マキロイ 1989年生まれ北アイルランド出身。米ツアーではメジャー4勝含む22勝。マスターズに勝てばキャリアグランドスラムを達成する

パットの復調が勝利を呼び込んだ

2022年シーズンはローリー・マキロイの劇的な勝利で幕を閉じた。ツアー選手権の戦いは強烈な印象を残したが、彼はいかにして勝ったのか? 勝因を分析してみると、キーワードは“パッティング”にあった。

ツアー選手権の最終日、マキロイは残り4ホールを残して1打差に迫っていた。そして16番。10メートル弱、決まる確率7%というパットを見事に決め、キャリア3度目の年間王者に輝いた。優勝を争っていたスコッティ・シェフラーも「ローリーはすごくいいゴルフをしていた。優勝に値する」と脱帽。16番のロングパットだけでなく、ツアー選手権でのマキロイのパッティングは数字で見ても明らかで、各項目の貢献度を示す数値「ストロークゲインドパッティング」でマキロイは1位を獲得していたのだ。

しかし、2年前の数字はまるで別人だった。マキロイほどの選手でも、2年前は193人中122位という、信じられない成績でシーズンを終えている。ではなぜ、ここまで数字が上がったのか? PGAツアーで多くの勝利を見届けてきたインストラクターであるトッド・アンダーソンはこう分析する。

「技術はもちろんですが、彼のストロークには“流れ”がしっかりあります。ちゃんとパターヘッドが動いている。自分の直観を信じてよどみのないストロークをしているのが大きいでしょう」(アンダーソン)

パッティングは決めたくなるほど、あらゆる弊害を生む。心の微妙な変化が、ストロークに大きな影響を及ぼしてしまうもの。マキロイは、決めたいという気持ちよりも“ストロークだけ”に集中できている。と、アンダーソン。

「彼は自分のストロークを100%信用できているように見える。頭の中を空っぽにして、リズムだけを意識する。技術的なことよりももっと大事なことです」

技術を意識する――多くのゴルファーはテークバックとフォローで同じ距離をとろうとする。思い当たる節がある方も多いのでないだろうか? アンダーソンは「これは非常に危険」だと言う。

「パターがボールに当たった瞬間、衝突により、ヘッドは一瞬減速します。それを同じ速度で振ろうとすると、インパクトでヘッドは加速してしまうでしょう。大事なのは1メートルでも10メートルでも同じリズムで振ること。これがもっとも大事であり、難しいこと。マキロイのストロークはそれが完璧にできていた」

勝つには理由がある。マキロイはまさに、王者になるべくしてなったのだった。

流れるような、リズムのいいストロークを取り戻したおかげでマキロイのパッティングの精度が格段に上がった

月刊ゴルフダイジェスト2022年12月号より