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「この瞬間を夢見ていた」ジョン・ラームがセベに並ぶナショナルオープン3勝目

DPワールドツアーの「スペインオープン」でジョン・ラームが母国のヒーロー、セベ・バレステロスの記録に並ぶ3回目の優勝を挙げた。

1.8メートルのウィニングパットを決める直前、グリーンを取り囲んだ大勢のギャラリーから「ビバ、セベ!」の声が飛んだ。バーディで72ホールを締めくくったラームは、「セベは僕の偉大なヒーロー。彼の記録(同大会3勝)に並ぶことがゴールだった」と感無量の表情を浮かべた。ヨーロッパで通算50勝を誇るセベが95年に最後の勝利を挙げたのもスペインの首都マドリッドで行われたこの大会。「彼が生涯をかけて残した記録を数年のキャリアで達成できたのは感慨深い。最強のフィールドではないかもしれないけれど、地元の人たちに優勝を期待され、勝って当然の雰囲気。僕にとってこのタイトルは一番獲るのが難しいかもしれない」と27歳の元世界ナンバー1。

最終日は目の覚めるようなプレーで「62」のベストスコアを叩き出し、後続に6打差をつける圧勝に、「家族の前で素晴らしいプレーができた。完璧な1週間だった」と喜んだ。

ラームが同大会で初優勝を飾ったのは4年前(18年)。翌年連覇を達成し、昨年も優勝のチャンスがあったが最終日に崩れ、フラストレーションをあらわにした。昨年のリベンジを果たし5月のメキシコ選手権以来の勝利を挙げた彼は、これで世界ランクトップ5に返り咲いた。

余談だが、同大会の優勝賞金は29万7500ユーロ(約4200万円)。同じ週に開催されたLIVゴルフのバンコク大会で勝ったスペインの22歳E・チャカラはその16倍以上(6億9000万円)を3日間で稼いだ。

求めるのはお金か、それとも歴史に名を刻むレガシーか? いくら稼いでもLIVの戦績は世界ランクに反映されないため、チャカラは2700位台。いまの時代を象徴するようなできごとを2人のスペイン人が具現化してみせた。

ナショナルオープンでの優勝は何物にも代えがたい価値がある(写真は2022年ツアー選手権。PHOTO/Blue Sky Photos)

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月1日号より