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「全英オープン」の呼称が変わる!? エリザベス女王逝去の影響はゴルフ界にも

エリザベス女王の逝去によって、一部の国々でイギリス連邦脱退の動きが出ているが、お膝元の連合王国(UK)も揺らいでいる。これにより、ゴルフの全英オープンにも影響が出てくる可能性が……。

スコットランドでは、独立を問う2度目の住民投票を再来年の秋に行うことを自治政府が計画しているというし、北アイルランドではイギリス本土との関税問題が再浮上するなか、アイルランドと南北統一を目指すシン・フェイン党が第1党になっている。もともと21年のEU離脱後の火種があったところに、強い絆のもとであった女王を失ったことが油を注ぐ形となったのだろう。

もっともUKからの脱退といっても時間はかかるし、スコットランド独立党のスタージョン党首は「独立しても王政がなくなるわけではない」と語っていることから、R&Aなどが持つ“ロイヤル”の名称が消えるわけではないだろう。

ドナルド・トランプ氏は大統領時代、スコットランド独立についてウォールストリートジャーナル誌のインタビューに「本当にひどいことになる。全英オープンが“スコットランドオープン”になってしまう」と語っていた。全英オープンの正式名称は“ジ・オープン”だが、アメリカでは「ブリティッシュオープン」と呼ばれている。その名称が使えなくなるというわけだ。トランプ前大統領はスコットランドに2つのコースを所有しているが、スコットランドの名門コースの多くはイングランドの会員を多く抱え、また旅行者に支えられている。独立すればコース経営も難しくなる可能性があるというわけだ。

また、全英のローテーションコースにも影響が出る可能性もある。来年のロイヤルリバプールなどイングランドのコースが外れる可能性は低いが、25年開催予定のロイヤルポートラッシュ(北アイルランド)は、仮に南北統一がなされたとすれば、あるいは最後の全英オープンになるかもしれない。

いずれにしてもこの問題、ゴルフの聖地が絡んでくるだけに無視できないものがある。

全英オープンの行く末は?(PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月25日号より