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【スウィング研究】青木瀬令奈、渡邉彩香、金田久美子…強い“アラサー”5人のスウィング図鑑

黄金世代の出現以降、新世代の台頭著しい女子ツアー。今季も西郷真央や岩井千怜らニューヒロインが誕生しているが、30歳前後の中堅も躍動中だ。青木瀬令奈、渡邉彩香は優勝。金田久美子、福田真未、葭葉ルミはシード復帰を虎視眈々と狙っている。そんな“がんばるアラサー女子”5人のスウィングを南秀樹プロコーチに解説してもらった。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Tsukasa Kobayashi、KJR

解説/南秀樹
香川県で3.7.3ゴルフアカデミーを主宰。ジュニア育成にも定評があり、鈴木愛を賞金女王まで育てた。多くの女子プロも師事し、試合会場に足を運ぶことも多い

青木瀬令奈(29)

レベルブローに変わり飛距離と方向性が安定

資生堂レディースで優勝を飾り、メルセデスランクトップ10にランクインする選手の中で最高齢の青木は、出場25試合中10度トップ10フィニッシュを果たしている。

「青木プロは、昨年までアッパーブローのインパクトでしたが、今年はレベルブローに変えています。昨年までは体重移動が多く、ダウンスウィングで頭が右に傾き、インパクトでカチ上げようとする意識が強かった。それを体の中でクラブを回すイメージのレベル軌道にしたことでしなり戻りは遅くなり、シャフトのしなりがさらに生かすことができ、トップでの捻転が小さめでも飛距離が伸び、方向性も安定しました。ドライバーシャフトを、長年使ってきたUSTマミヤからフジクラのベンタスに変更したのも成功ですね。飛距離が伸びて、ショートゲームの上手さがさらに引き立つ形になっています」(南)

実際にスタッツを見ても、平均飛距離、FWキープ率ともに昨年から上がっているのが分かるが、スウィング変更が他のショットに好影響を与えていると南プロ。

「レベルブローにしたことで、低く長いフォローを手に入れました。そのことでFWやUTでのライン出しが向上してパーオン率がアップ。もともとパットの上手い選手ですが、今年はとくに好不調のムラが少なく、安定したパットを続けられているので、そのこともスコアが出せている要因だと思います。30歳前後の選手は自分やクラブのことをよく知っている反面、課題に対してどっちつかずになって迷走してしまうケースがよくあります。その点、青木プロはショットの安定感だけに課題を絞って練習できた。このあと取り上げる4選手もそうですが、迷いなく課題に取り組めたこと、そして2年ぶりにプロアマが開催されるようになり、とくに若手選手がスケジュール管理が難しくなったこと、この2つが今年この年代が活躍する要因のひとつだと感じます」


ゆるやかな入射角で体の負担も少ない
「レベルブローにしたことでシャフトのしなり戻りが上手く使えるようになりました。インサイドからカチ上げるのではなく、今はナチュラルなドローで体への負担も少なくなったと思います」(南)
20-21年22年
平均飛距離217.9Y221.9Y
FWキープ率76.5%78.0%
パーオン率60.5%61.7%
平均パット数28.527.9

渡邊彩香(28)

縦回転からの横回転で真っすぐ飛ばす

5月のほけんの窓口レディースで2年ぶりに優勝した渡邉。19年にシード落ちを経験し、どん底から復活してきた。

「悪かった時は、チーピンや左への引っかけが多かったからでしょうか、絶対に左に行かせないという意思を感じるスウィングです。アドレスから左肩を左に向けて、左へのリスクを消しています。そこからクラブを縦に上げていき、ダウンスウィングからは横回転にシフト。実は「縦から縦」や「横から横」だとミスが起こりやすく、縦から横にシフトすることで、引っかけるリスクを減らすことができるんです。インパクトの軌道も以前はインサイドから入れようとしていましたが、今はストレート軌道でカット気味にインパクトしています。この変更でドライバーが安定したことで、スウィングが安定し、方向性もよくなりました」(南)。

20-21年22年
平均飛距離250.7Y247.7Y
FWキープ率55.1%51.6%
パーオン率69.6%68.1%
平均パット数29.929.7

金田久美子(33)

細身でも下半身が強い。それを飛距離につなげる

一方で17年以来シードを取れていない金田。昨年はQTも振るわず、1回目のリランキングまではわずか8試合の出場にとどまった。しかし少ないチャンスを生かし、10位以内2回と復調をアピール。シード復活も射程圏にとらえる活躍を見せている。

「若いころはトレーニングを一切しない選手で、飛距離もなかった。それがここ数年トレーニングを取り入れて体が強くなっています。その効果で下半身の安定感が増し、コンパクトなトップでも飛ばせるようになった。加えて契約フリーになって自由にクラブを選べることも飛距離アップにつながっています。ショートゲームの上手さは、今のツアーのなかでも群を抜いているので、ドライバーが飛ぶようになったことで、チャンスが広がったのだと思います。また、年齢が上がるとともに、フォローで頭を残しすぎないなど体への負担が少ないスウィングになってきているので、とくに難しいコンディションのほうが力を発揮でき、メジャーなど大きな大会に期待できると思います」

20-21年22年
平均飛距離222.1Y221.9Y
FWキープ率69.17%67.4%
パーオン率63.8%66.1%
平均パット数29.429.9

葭葉ルミ(29)

クラブの重みを感じる力まない切り返しで飛ばす

「飛ばし屋の多くは、クラブを“振っていく”タイプが多いですが、葭葉プロはクラブに仕事をさせるタイプ。新しいクラブ契約から1年以上たち、ようやくクラブに慣れてきたことが今季の成績につながっていると見ています。スウィング自体も昨年から微調整されていて、体重移動が小さくなりました。ダウンスウィングでの踏み込みが小さくなり、下半身が安定したことでショットが安定し、シャフトのしなりをうまく使って飛ばしています。飛距離アップというよりも“打率”を求めたスウィングに見えますが、常に力まずにクラブを上手く使うことで、結果的に昨年より飛距離も出ています。加えて、今季はショートパットが絶好調。昔はゆるむことがよくありましたが、今季は勝負どころでストロークが締まっています。ここも好調の理由です」(南)

20-21年22年
平均飛距離250.0Y256.3Y
FWキープ率61.3%56.7%
パーオン率64.3%65.5%
平均パット数29.6%29.9%

福田真未(30)

レベルブローで押し込むインパクトはアマのお手本

「昨年までは“振っていく”イメージでしたが、今季はボールを“運んでいく”イメージのスウィング。アドレスも、以前はハンドファーストに構えていましたが、今は自然体です。バックスウィングからシャットフェースでクラブを上げていき、ダウンスウィングでは左への体重移動が少なくなったことで、ゆるやかな入射角でボールを押し込んでいきます。ダウンスウィングからフォローにかけて腰がスムーズに回転し、体の左サイドにクラブを振り抜くスペースがきちっと作れていて、フェースローテーションをまったく使わないのでショットが安定します。この“運ぶ”スウィングなら、ドライバーからウェッジまですべて同一イメージで打てるので、今季の好調はこのスウィングのおかげだと思います」(南)

20-21年22年
平均飛距離222.1Y221.9Y
FWキープ率69.17%67.4%
パーオン率63.8%66.1%
平均パット数29.429.9

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月20日号より