「チャンピオンはチャンピオンらしいゴルフをしなくては…」ミッシェル・ウィが自身のメンタルヘルス問題を明かす
一昨年に長女を出産し、今年6月には競技から退くことを発表したミッシェル・ウィが、これまでに直面してきた自身のメンタルヘルス問題を語った。
10代の頃から“天才少女”と呼ばれ、華やかな経歴を持つスター選手のひとりだったが、期待されていたほど成績は挙げられず、メジャー1勝、米ツアー5勝にとどまった。
何をやっても騒がれたデビュー当時は、周囲の雑音を気にすることはなかったというが、彼女に変化が起きたのは全米女子オープン(14年)に勝ってから。慢性的に抱えていた手首痛が悪化し、思うようなプレーができずに悩んだことがきっかけだった。「チャンピオンはチャンピオンらしいゴルフをしなくてはいけない。強くなければならない。崩れることなく休まずに戦い続けなければならない。そんな強迫観念にとらわれていました」とナイキのポッドキャストで語ったウィ。「心の中で、強いチャンピオンになるためには、集中力を高め、決して諦めず不平不満を漏らしてはいけないと自分に言いきかせました」。
だからメディアには、ケガについて本当のことは語らなかった。事実を隠したのは“弱み”を見せたくなかったから。「でも正直痛かったし、競技を続けられるか不安でした」とウィ。
せっかくメジャータイトルを獲得したのに、喜びより不安が募る。
「当時はアスリートのメンタルヘルスに関する問題が語られることがなかった時代。最近になって取り上げられるようになって良かった」
近年は有名アスリートがメンタルヘルス問題を公に口にするようになった。
「アスリートがようやく本音を語れるようになった。チャンピオンだって脆(もろ)いし完璧じゃない。それを本人と周囲が認められるようになったのは素晴らしい傾向です」
ウィは来年の全米女子オープン(ペブルビーチ)を最後に、現役を引退する。
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月13日号より
こちらもチェック!
- 2015年の全米プロを制し、世界ランク1位に輝いていたジェイソン・デイ。本誌連載でもおなじみのクリス・コモとタッグを組んで、長い間苦しめられてきた腰痛からようやく解放されたという。世界ランク1位だった頃よりもゴルフに“取り憑かれている”というジェイソン・デイが語ったことは……。 取材・撮影/田邉安啓 ジェイソン・デイ1987年、オーストラリア生まれ。PGAツアー12勝。201……
- 華やかに見える女子ツアーだが、シードを獲得し、トップで活躍できる選手はほんの一握り。次々と若い世代が登場し、シードを維持することも容易ではない。戦国時代さながらの女子ツアーを生き残るため、笑顔の裏で、人知れず悩み、努力を重ね、必死で戦い続けている。そんな女子プロたちの心の内に迫ってみた。 渋谷の街を颯爽と歩く柏原明日架(PHOTO/Takanori Miki) ……