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米LPGAを支えたワン氏が退任。ツアーV字回復の立役者

今年34試合を開催する予定の米女子ツアー。コロナ禍にありながら賞金総額も史上最高を更新しているが、ツアーのV字回復を牽引したマイケル・ワンコミッショナーが退任を表明した。

「LPGAファミリーの皆さまへ」という表題をつけコミッショナー職を辞すメッセージを選手やスタッフ、スポンサー宛に発信したワン氏。

「将来が不透明な状況であれば LPGAを離れる決断はなかったでしょう。しかしコロナの試練を乗り越え、LPGAはこれまで以上に財政的に健全であり世界中の情熱的かつ多様なスポンサーに支えられています。LPGAはさらなる高みを目指しています。そういう時期だからこそ次のリーダーにバトンを託し、私は最大のサポーターになりたい。そうなることに興奮しています」と綴ったワン氏。

11年前の就任当時は、前任者が賞金額が大きいトーナメントを重視し、地元に根ざした小規模ではあるが歴史ある大会を排除しようとしたことで試合数は激減、23試合にまで落ち込んだ。

韓国人選手の台頭もあり、人気低迷に歯止めがかからないツアーを立て直すべく、4年の任期でコミッショナーに抜擢されたのがワン氏。大企業の営業を経てテーラーメイドなどで要職に就いていた彼は、コミッショナー就任直後から選手と積極的にコミュニケーションを取り、スポンサー開拓に地道に取り組み“インターナショナル路線”を推進。アジアや中南米での試合を増やし、米国内でも新たなスポンサーを獲得するなどツアー活性化に貢献。テレビ視聴数も増加し、今季の賞金総額は7645万ドル(約80億円)。4年だったはずが過去最長の11年の長期政権になった。

「彼は絶対的に適切なリーダーだった」というのは選手会長ビッキー・ゲッツ。「新しいイベント、新しいスポンサー、包括的で新しい価値観を提案し、ツアーを再構築し未来を拓いたのです」

退任の時期は未定。ツアーはこれから彼に代わるコミッショナー選定に取りかかる。

10年にワン氏がコミッショナーに就任した年、アメリカ国内のスケジュールは半分程度で賞金総額200万ドル超えはわずか8試合だった(写真は2014年全米女子オープン)

週刊ゴルフダイジェスト2021年2月2日号より