【PGAツアーHOTLINE】Vol.33「地に足をつけ必死にペダルをこぐ」ローリー・マキロイの好調の秘密
PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第33回のテーマは絶好調ローリー・マキロイの強さの秘密について。
ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Tadashi Anezaki
今シーズン光るのは最終日の強さ
ローリー・マキロイは全英オープンで優勝を逃しましたが、ツアー屈指の実力者であることは皆さんご存じの通り。では彼にとって勝敗の分け目はどこにあったのでしょう?
6月に連覇を達成したRBCカナディアンオープン最終日の朝、彼が勝つためにチェックしたのは風向きでした。「南寄りの風が吹くという予報を見て5アンダーか6アンダーをマークすれば勝てると思ってスタートしました」(マキロイ)
実にシンプルな考え方です。その日、彼は予想を上回る8アンダーの62を叩き出し、2位のトニー・フィナウに2打差をつけツアー通算21勝目を挙げました。
「地に足をつけ必死にペダルをこぐ」
それが彼のマインドセット。スウィングのあれこれを考えるのではなく、体がおもむくまま忍耐強いプレーを貫くことで、「スタートダッシュに成功した」のだとか。
元々ドライバーが飛び、ショットの安定感は抜群だったが、昨シーズンよりパットのスタッツが向上し、それに応じて成績が上昇。現在世界ランキング3位
今季のマキロイは最終日に6アンダー以下のスコアを4回出しています。「62」をマークしたカナディアンオープン、6アンダー「66」をマークしたザ・プレーヤーズ選手権とCJカップ。そしてマスターズの最終日は「64」で回り、2位に食い込みました。
メジャーではマスターズ2位、全米プロ8位、全米オープン5位、全英3位と4試合連続トップ10入り。本人はメジャー2勝を挙げた14年以降では、「最高のパフォーマンスができている」という実感があるようです。
「常に優勝争いに絡んでチャンスがある位置で戦えています。全英で勝てなかったのは残念だけれど、悪いゴルフをしたとは思っていません。最終日、もし序盤で1つバーディが決まっていたら展開は変わっていたはず。(優勝は)もうすぐそこ」
データにも穴がありません。全英の平均飛距離は343.8ヤードで全体の4位、パーオン率は90パーセントで2位。カナディアンオープンの最終日は100から125ヤードのアプローチ( ピンを狙うショット)を平均1メートル以内につけるなど、ショット力は群を抜いています。あとはパットを決められるかどうか。
来年のマスターズ、パットのスタッツがさらに改善されれば、待望のキャリアグランドスラムも夢ではないでしょう。
コーリー・ヨシムラ
PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前
週刊ゴルフダイジェスト2022年8月16日号より