全米オープンは、イングランドの27歳マシュー・フィッツパトリックが米ツアー初優勝。13年に全米アマを制している同じ会場でトロフィをかかげた彼を、ライバルたちはこぞって称賛した。

これまで勝てなかったのが嘘のようにメジャーの大舞台で底力を発揮したフィッツパトリック。圧巻は15番でティーショットを大きく右に曲げ、ベアグラウンドのようなライにつかまったあとの1打。残り220ヤードを5番アイアンで約5メートルに寄せ見事バーディ。さらに18番では厄介な左のバンカーに入れたが、迷うことなく繰り出した9番アイアンのショットがグリーンをとらえ、同組のザラトリスに「凄かった。あれをバーディチャンスまで持っていったんだから脱帽するしかない」と言わしめた。

普段からナイスガイと評判のフィッツパトリックは、自身のSNSに「子供の頃から夢見てきたことが現実になった。想像していた1000倍以上うれしい」と率直なコメント。するとライバルたちが一斉にフィジー（フィッツパトリックの愛称）に祝福を贈った。

「泣きそうだ。素晴らしい。本当に良かった」（T・ハットン）、「ずっと扉をノックし続けて、ついに全米オープンで最高の勝利を挙げたね」（L・ドナルド）。「ハードワークの賜物。プレッシャーに強い気遣いの人。おめでとう」（P・ハリントン）。

イングランド出身の先輩N・ファルドは「君のショット力をしかと見せてもらった。特に15番と18番は凄かった。君はもう伝説だ」と大絶賛。

全英オープン覇者のS・ローリーは帯同キャディにも言及。「ビリー・フォスター（キャディ）はレジェンド。メジャー勝利にふさわしい」。キャディ歴40年、セベやウエストウッドらについて30勝以上挙げているが、今回がメジャー初V。勝った瞬間選手より先に泣き出したのが印象に残る。

ショットメーカー“フィジー”の今後も楽しみだ。

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月12日号より