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【スウィング研究】リディア・コー「まるでアプローチのように右手首の形をキープできている」

昨年東京五輪で銅メダルを獲得すると、今季もすでに1勝を挙げ、好調をキープするリディア・コー。その強さの秘密はどこにあるのか。プロコーチの森守洋が解説。

PHOTO/Blue Sky Photos

リディア・コー
アマチュア時代、さまざまな金字塔を打ち立て、2014年のプロ入り以降17勝。常に賞金ランク上位に位置する。一時不調に陥ったが復調の兆しを見せている。今季1勝
●平均飛距離:258.23Y ●FWキープ率:58.9%

体の使い方がずば抜けて上手い

2017年にそれまで師事していたデビッド・レッドベターのもとを離れ、たびたびスウィング改造を行ってきたL・コー。その後、不調に陥っていたが、昨季1勝(賞金ランク5位)、今季1勝と、オールラウンダーの強さを取り戻している。


「一番の特徴は、ダウンスウィングでのタメの深さにあります。アドレス時よりもインパクト時の右手甲の角度が深まり、ボールを強く叩ける形になっていますね。アプローチの上手い選手の多くは、右手甲が背屈した状態でインパクトしますが、彼女はフルショットでも、アプローチレベルでインパクトの形を作ることができていることに驚きです。

また、彼女は比較的、右足軸で振っていることもあり、切り返しでバンプ(腰を目標方向に動かすこと)するかと思いきや、体重が左かかと側へしっかり移動して、バンプすることなく骨盤が回っています。さらっと振っているように見えますが、捻転差が大きく、実はかなり体を使っている効率の良いスウィングといえるでしょう。

もう一つの特徴としては、手の使い方が上手いこと。“手を使う”というと、あまり良い印象を受けないかもしれませんが、トッププロたちは総じてクラブの扱い方が上手く、そのためには手でクラブをさばく技術が必要。彼女がすぐに復調したのも、この感覚が優れているからではないでしょうか。クラブを扱うのが上手い選手は、スウィングが崩れにくいのです」

解説/森守洋

米国でスウィング理論を学んだのち、陳清波に師事。2002年よりレッスン活動を開始し、現在は香妻陣一朗や堀琴音らツアープロのコーチを務めつつ、多くのアマ指導にあたる

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月21日号より