【わかったなんて言えません】Vol.83 池村寛世 #3「人のマネして我が振り直せ!」
「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは前回に引き続き、同じ九州出身で昨年初優勝を飾った池村寛世。じつは同僚プロゴルファーたちのモノマネが得意な池村。やりたいプロの出球などを真似するといいイメージにつながるというが……。
TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Tadashi Anezaki
ホスト/時松隆光
1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”
ご指名/池村寛世
1995年生まれ、鹿児島出身。10歳でゴルフを始め豪州留学経験も。13年にプロ入りし昨年初優勝。実家は有名焼酎・魔王の原料を作るサツマイモ農家
時松 寛世はスウィングのモノマネが得意なんだよね。
池村 インスタで、源蔵さんと浅地(洋佑)さんと、あとチェ・ホソンとかのマネをしたらけっこうウケたんです。
時松 僕の代はみんなクセ強いからなぁ。コツとかあるの。
池村 誇張することを意識しています。源蔵さんの場合は、まずベースボールグリップで、そこからゆっくり上げる。フィニッシュも特徴があります。浅地さんはトップとそこからの切り返し。川村(昌弘)さんもクラブの始動の仕方はクセがありますし。
時松 クセしかない(笑)。「俺は今平周吾だ」っていうのは?
池村 それは去年のANAのときです。5位になったんですけど、その週は練習日からずっと調子が悪くて。初日の朝に練習場の後ろで周吾さんが打っていて、いい音だな、いい球だなって思いながら僕は球を打たずにずっと見ていたんです。そうしたらめっちゃいいイメージが出てきて、そのイメージのまま出ていったら初日よくて。残り3日間も周吾さんの球をイメージしながらやったんです。
時松 実際にコンペイ(今平)さんに成りきる?
池村 はい。「僕は周吾さんだ」と打つ前に言いながらアドレスに入っていきました。周吾さんってあまり球を曲げるイメージがない。シンプルに真っすぐという、その出球のイメージでやったらよかったんです。
時松 試合のときは自分のスウィングは自分では見えないし、調子が悪いときはそうやってイメージで調整していくことも大事だよね。
池村 僕はいろんなタイプの人のスウィングを見るんです。朝、ロッカーで時間が余っているときには好きな人のスウィングをスマホとかで見てイメージを作ったりします。
時松 僕のは見たことある?
池村 源蔵さんのスウィングは……スマホの中にはないです。
時松 そうなんだ……。
池村 いや、だって僕とタイプが全然違うじゃないですか。
時松 じゃあどういうスウィングが好きなの?
池村 シンプルなスウィングが好きですね。いつも見ているのは、ミンジー・リーの弟でヨーロッパツアーで活躍するミンウー・リー。スウィングはめちゃくちゃきれいですよ。
時松 知ってる、よいよね。
池村 源蔵さんはどうですか。
時松 ルイ・ウエストハイゼンとかDJ(ダスティン・ジョンソン)とか。あとタイガーは絶対見る。でもスウィングとかじゃなく、優勝した試合でこういう場面からエンジンをかけてくるんだなとか、そういうところです。
池村 僕も昨年優勝したISPSの土曜日の夜、ユーチューブでタイガーの全英や全米で優勝したダイジェストを見ました。そうしたら、タイガーは優勝争いでセカンドショットを打ってグリーンに上がっていくとき、口を開けて歩いていたんです。
時松 どれくらい?
池村 これくらいです。
時松 小っちゃ(笑)。
池村 そんな大きくは開けない。グリーンに向かいながら口を開けて歩く。一緒に見ていた知り合いが、人間は緊張するとグッと口を閉じて力が入る。それでタイガーはリラックスするために口を開けているんだって言っていました。
時松 ドライバーも口を開けて打ったほうが飛ぶのかな。グッと力入ると飛ばないのかも。
池村 さっきショットの映像はないって言ったけれど、源蔵さんがパターを打っているときのをよく見ていますよ。
時松 パターかぁ。
池村 源蔵さんのパッティングはヒットしているというより、ちゃんと転がしている感じがします。同じパットが上手い人でも、谷口(徹)さんとか藤田(寛之)さんのようにダウンブロー気味に打つのとはまた違う打ち方で、源蔵さんはヘッドをアッパーに上げながら打ちますよね。僕は源蔵さんのタイプの打ち方のほうが好きです。
時松 どういうふうに?
池村 昔の源蔵さんのパットをやってみようと思います。
時松 ああ、左足を後ろに引いたスタンスね。
池村 あれ、入りますよね。
時松 うん。あれは入る。
池村 何でやめたんですか。
時松 あれは右足1本で立っているから風が吹いたら体が揺れちゃうんだよね。
池村 いいと思うんですよね。そうか、右足1本で立つ感じなんだ。確かにそのほうが下から見る感じでアッパーに打てますよね。今年やろうかなと思っています。
時松 よいと思うけど、風には気をつけたほうがよいと思うよ。
池村 わかりました!
「打ち込むのはイメージが出ないから、今年は源蔵さんのアッパーに上げながら打つのをマネしてみるかもしれません」(池村)
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月14日号より