得意のマスターズで初の予選落ちをした悔しさを糧に、ジョーダン・スピースが「RBCヘリテージ」で逆転優勝を飾った。

昨季の年間王者P・カントレーとのプレーオフ1ホール目で実力者を退けたスピース。ほぼ1年ぶりの優勝を決めた瞬間、昨年11月に誕生した息子サミー君を抱いた妻アニーさんが猛ダッシュで駆け寄りハグ&キス。

「今朝も息子と遊んだ。子供といるとすべてを忘れて幸せに浸れる」と、パパになって初めての勝利に歓喜。

この優勝には妻のナイスアシストも。実はスピース、3日目の最終ホールで50センチにも満たないパーパットを外し、ボギーを叩いている。「最悪の気分だった。あんな凡ミスをするなんて」

その夜、普段ゴルフの話をしない妻が「5秒だけ待ってね」とひと言。どんなに短いパットでも冷静になってから打って、という意味だ。イライラしても5秒で平常心に戻す“5秒ルール”。スピースは最終日そのことだけを考えた。すると、序盤でいきなりチップインイーグルが飛び出し、前半2つ目のパー5でも長いパットを沈めてイーグル。前日悔しい思いをした18番もバーディで締めくくり、クラブハウスリーダーに。一時は1打差に7、8人がひしめく混戦から抜け出したカントレーとのプレーオフでは、両者バンカーにつかまるも、スピースがパーをセーブし、栄冠を手繰り寄せた。

次なるミッションは来月の全米プロに勝って史上6人目のキャリアグランドスラムを達成すること。「そのためにはもっと努力する必要がある。ショットの状態は春先からずっと良いけれど、パットは改善の余地がある」

デビュー当時“パットの名手”といわれたが、今季のパッティングスタッツは179位。それでも勝つところは凄いが、グリーン上でのパフォーマンス向上がミッション達成には必須課題になりそうだ。

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月10・17日合併号より