コロナ禍も米国でのラウンド数は20%増。だが、雲行き怪しいPGAオブアメリカ
スージー・ウェイリーがPGAオブアメリカ初の女性会長に就任して2年。任期が満了し勇退した。彼女が果たした役割とプロゴルファーを束ねる組織の心配事とは?
ウェイリー女史が会長に就任した日、彼女は間違いなく歴史をつくった。だが、その後はさしたる功績もなく20年はコロナパンデミックにより主催するライダーカップが延期されるなど手腕を奮うチャンスが限定された。
しかしコロナで世界各国のツアーが中止に追い込まれるなか、ウェイリーはR&AやUSGA(全米ゴルフ協会)などゴルフの統治機関との連携に尽力し、各団体の関係改善に寄与した。
「コロナで残念な1年だったという見方が多いけれど、私はそうは思いません。20年はPGAの専門家たちの奥深さと精神力が示された年。安全で責任ある方法でゴルフをパンデミックから復帰させることができたのが私の誇りです」。実際コロナ禍にありながらアメリカではラウンド数が前年比20%増と好調でゴルフの底力が明かに。
「ゴルフ界のニューカマーをしっかりとつかんで逃さず、ゴルフの楽しさ素晴らしさを伝えることが私たちPGAプロの責務。会長は退きますがクラブプロとして今後もゴルフ発展に力を注ぎたい」と、さらなる意欲も。
しかし、PGAオブアメリカを巡っては心配なニュースも。最高執行責任者(COO)であるダレル・クレール氏が暴力事件を起こし昨年11月末にDV容疑で逮捕されたのだ。テキサスの地方紙が伝えたところによるとクレール氏はガールフレンドに車の鍵を返すことを拒否し、彼女を地面に突き飛ばし暴行を働いたという。通報を受け駆けつけた警察によると被害者は顔や右手を負傷、爪も折れ、供述中涙を流し「息ができなかった」と訴えたという。
この一件で彼は休職に追い込まれたが、PGAオブアメリカの本拠地をフロリダからテキサスに移転する大事業の立役者が彼だった。移転は22年8月予定。PGAオブアメリカはどこへいく……?
週刊ゴルフダイジェスト2021年1月26日号より