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派手なイベントにしたくないから? 五輪ゴルフが「団体戦」ではない理由

リオ五輪でゴルフ競技をオリンピックに復活させた立役者が、なぜチーム戦ではなく個人戦が採用されたかについて言及した。

112年ぶりにゴルフを五輪競技に戻すために活躍したのがインターナショナルゴルフフェデレーション(IGF)を10年率いたピーター・ドーソン前会長。現在はアニカ・ソレンスタムにその座を譲ったが、米メディアのインタビューで、世界中のゴルファーが感じていた疑問に答えた。

まずは「なぜワールドカップのような国別対抗戦がオリンピックゴルフに採用されなかったのか?」。ドーソン氏はこう答える。

「国際オリンピック委員会(IOC)はライダーカップのような派手はイベントではなくスポーツで普及しているオリンピック形式を望んでいました。それがストロークプレーで雌雄を決するというもの。ゴルフがおもにメジャーチャンピオンを決定する方式だからです」

IOCはストロークプレーにこだわり、各国の選手のストロークプレーのスコアを合計し、チームのスコアとするクロスチームプレー競技も「議題から外された」という。

IGF(国際ゴルフ連盟)元会長のピーター・ドーソン氏


たとえばサッカーは誰もが認めるチームスポーツ。しかし個々のパフォーマンスの集積(スコアの合算)による競技をチームスポーツとは認めないという暗黙の了解がIOCサイドにあったのだ。

また、チーム戦を遂行するに当たっての障害はIOCだけではなかった。ドーソン氏は「世界の主要なプロツアーとのスケジュール交渉も難しかった」。チームイベントにするためには各プロツアーの2週間の中断が必要だが、それを了承するツアーは「なかった」。

しかし、個人のパフォーマンスに加えワールドカップ方式でのチーム戦を採用すべきという声も一部IOC内部にあるそうで「今後も議論は続くと確信している」とドーソン氏。どちらにせよ東京五輪は個人戦のみの開催になる。

週刊ゴルフダイジェスト2021年1月26日号より