【スウィング研究】西郷真央「しなやかな上半身と強靭な下半身が飛んで曲がらない球を生む」
ルーキーとして挑んだ昨シーズンは2位が7回。初優勝に最も近い選手と言われた西郷真央が、開幕戦で稲見萌寧や西村優菜といった実力者を逆転して優勝。師匠・ジャンボ尾崎のもとで鍛えたショットメーカーのドライバースウィングを、現地で見ていた横田英治プロが解説。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa
解説/横田英治
1971年広島県生まれ。1996年プロ入り。ツアー経験に基づく理論的アドバイスに定評があるプロコーチ。ダイキンには指導している岸部桃子のキャディとして帯同
すっと立ち、ポンと置く
究極のアドレス
西郷選手はドライバーからアイアン、アプローチ、パターまで弱点のないオールラウンダーという印象です。実に楽しそうにゴルフをするし、見ていて気持ちがいいですよね。クラブの性能を生かして、クラブの動きを邪魔しないスウィングの持ち主で、とくにいいのがアドレスです。左手が少しストロングで右手がスクエア。今どきのスタンダードグリップで、クラブを押さえつけるのではなく、自然に立ったままヘッドをポンと置いているような構えはある意味、究極です。バックスウィングでは、リストコックを使わず手首の動きを最小に抑えることで大きなアークを描いていきます。
トップから、しなやかな上半身の動きと安定した下半身がシンクロして一気に左へ体重が乗ります。「しなやか&安定感」と普通の解説に終始してしまうほど、動きがオーソドックスなのも強さの一端です。
ダウンで左の太ももに張りがあるのは体重が乗っている証拠。同時に上半身は脱力しているので、大きなタメが生まれます。アマチュアの人はリストでタメを大きくしようとしますが、これではクラブの動きとタイミングが合いません。リラックスした上半身を参考にしてほしいですね。
インパクトでは、前傾がさらに深くなるほど体重を乗せていきますが、体は左に流れず、頭はビハインドザボールがキープできています。体幹の強さと上手なウェートシフトの賜物です。フォロースルーでは頭とクラブヘッドの距離が離れて、遠心力を最大限に使えています。ハンマー投げの選手のようです。他の映像も見ましたが、この自然なアドレスと上手なウェートシフトはどの番手も共通しています。1勝目の壁を破ったいま、2勝目も近そうです。
週刊ゴルフダイジェスト2022年3月29日号より