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【世界基準を追いかけろ!】Vol.76「ジェイソン・デイの復活は本物か!?」

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は、ここ数年不調に悩まされていたジェイソン・デイについて。復活の兆しを感じ取った2人のコーチとX氏が新スウィングについて語った。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 1月末に行われたファーマーズインシュランスオープンで、ジェイソン・デイが優勝争いの末、トップと1打差の3位タイに入りました。

X ジェイソン・デイは復活しそうですよね。

黒宮 もう復活でしょうね。テレビで試合を見ていた限り、悩んでいたチーピンを克服した感はありますよ。

目澤 (開催コースの)トーリーパインズではデイは、最後の最後はショットがスティープ(上からボールをつぶす)に当たっていましたが、一日のラウンドを通して左に曲がる雰囲気はなかったですよね。17番で打ったティーショットの右プッシュは、ミスのように見えますが、あれはメチャクチャ上手かった。あのホールは絶対に左はダメなんですよ。

X あのホールのティーショットは、どの選手も右のバンカーに逃げますもんね。


目澤 デイは多分、右のバンカーのさらに右を狙って打っていったと思います。あの日は奥のピンだったので、右からでも狙えるというのがデイは分かっていたし、バンカーの右サイドはギャラリーに踏まれているからライも打ちやすい。今までの不調なデイだったら、あそこまで飛ばせなかったと思うんですよね。素振りもちゃんと、今までにない素振りができていましたよね。

黒宮 僕は世界ジュニアでトーリーパインズを回りましたけど、17番のティーショットはフェース面を左に向けないと気持ちよくセットアップがしづらいホールなんです。そのなかでデイは左にフェースを向けていても、左に出球は行かない体の動きができるようになっていたから、凄いなと思いましたね。気持ちよくクラブを振り抜いていましたよね。

GD ジェイソン・デイはタイガーの元コーチのクリス・コモと取り組んできたことの成果が出てきたということですか。

目澤 出てきていると思います。18番のティーショットなども、あんなに左から回すフェードは、今までは打てていなかったですから、よっぽど良かったと思いますよね。でも15番のティーショットはけっこう危なかったけど。

GD 具体的に、悪いときからして、どの辺が良くなっているのでしょう。

目澤
 腰を痛めたときのスウィングと比べると、明らかにその場で体を右・左に回すようになりましたよね。

GD それをどうやって身に付けていったと思いますか。

黒宮 今回見たら、骨盤の位置が変わりましたよね。特に左の骨盤の動きが抑えられて、スウィング中に全然動かなくなった。今までは始動したときに、若干スウェイしていましたから。とても器用な選手だから、今まではその動きすぎ状態でも、上手く当てていたんだと思います。日本の選手がよくやるような「左手でテニスラケットを振る」とか、「フェアウェイバンカーでいろんな球を打つ練習」などは、動きすぎを抑えるには有効だと思います。

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月1日号より