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【スウィング研究】ジョン・ラーム「振らなくても300Y! 究極のハンドファーストインパクト」

2022年初戦「セントリー」で、C・スミスに敗れたものの、34アンダーという驚異的なスコアで2位に入ったJ・ラーム。300ヤードを超える飛距離と抜群の安定感を両立するラームのスウィングの凄さを、内藤雄士が解説。

PHOTO/Blue Sky Photos

ジョン・ラーム
平均飛距離302.8Y(セントリートーナメント4日間)
188センチ・100キロ、27歳。全米オープン(2021年)優勝。PGAツアー通算6勝

解説/内藤雄士

ティーチングプロ。大在学中に米国留学しゴルフ理論を学び、プロコーチとして丸山茂樹など多くのプロをサポート。高井戸ハイランドセンターでラーニングゴルフクラブを設立、ゴルフ指導と分析家として活躍

フルスウィングしなくても300Y

手首の柔らかさが尋常ではないと感じるスウィングです。始動からトップまで左ひざが微動だにしない点も凄いですね。始動から胸を回すことで、ヘッドが地面すれすれを低く動き、腰と肩の捻転差を作っていきます。


トップは低く、すべてにおいてフルスウィングはしません。方向性とのバランスを考えてのことだと思います。普通、この低いトップでは飛びませんが、それでも300ヤード以上飛ぶのは体の強さと柔らかさの賜物。トップの捻転差を保ったまま打ち抜くというより、むしろインパクトが最大の捻転状態のように感じます。

左手首の屈曲はラーム自身の身体特徴でもあり、それを生かした強いハンドファーストのインパクト。おそらくこのショットは、ハワイの海沿いホールだったはず。海風を避け、低い球を打とうと、ハンドファーストが顕著に出たのだと思います。

ただし、腕を前に出しているのではなく、腰がターンして、同時に左わきが締まっていることで生まれる体勢です。腰の切り方、わきの締め方に注目してほしいですね。スタンスはナチュラル、いかにも方向性重視のラームらしい。左手は超ウィークで右手もウィーク。左足つま先を外に向けているのは体重を過剰に左に乗せたくないということでしょう。

週刊ゴルフダイジェスト2月15日号より