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【わかったなんていえません】Vol.67 大槻智春#5「真っすぐ前を見て」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは前回に続き大槻智春プロ。寡黙に見える大槻プロの、しっかりした考え方や取り組み方、そして今年の目標について時松プロがじっくり聞いていきます。

TEXT/Yuzuru Hirayama PHOTO/Hiroaki Arihara

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/大槻智春

茨城出身。日大2年時にプロ宣言、ツアー1勝。20-21年、イーグル率、トータルドライビング部門で1位。一見強面だが優しく穏やか

前回のお話はこちら

時松 大槻さんの今年の目標は。

大槻 早く2勝目を挙げたいです。できたらメジャーで勝って複数年シードを取りたいですね。

時松 
僕は自分が納得するショットを打ちたいです。これまでが5回に1回くらいなら、今年は2回に1回くらいの確率で納得できる球を打てるようにしたいです。

大槻 なるほど。

時松 大槻さんは昨年、2位が3回あります。この1打がなければ、ということはありましたか。

大槻 ゴルフパートナーで、最終ホールのティーショットをドライバーで打って右のラフにいき結局ボギーとなってプレーオフになった。「あそこは1打リードしていたんだから、ティーショットはアイアンだろう」とかいろいろ言われましたけど……まあ、ミスだったのかな。でもあのショットは自分が今一番自信があるクラブを持って打った結果そうなってしまったので。ということは、まだそういうプレッシャーのなかでの技術が追いついていないんだろうなっていうのはある。

時松 その1打を打った結果に納得はされているんですね。

大槻 優勝争いをした試合では基本、すべて自分で最善の判断をしてやってきたつもりだし、もちろんそのなかで失敗っていうのはあっただろうし、コースマネジメント的なミスもあったかもしれない。でも優勝争いをしていないときでもそれはあるからね。

時松 そういう考えができるのは素晴らしいと思います。ところで大槻さんはお父さんにゴルフを習われたそうですが。

大槻 うん、僕は昔からスウィングに関してはほとんど変えていない。間に何人かレッスンプロの方に見てもらったりはしたけど。基本、普段は自分でチェックしています。

時松 スウィングで気をつけていることはありますか。


大槻 今風のスウィングはバックスウィングをアウトサイドでシャットめに上げるけど、僕はややアウトサイドでオープンに上げていく動きをするんですよ。

時松 大槻さんの持ち球はドローですよね。

大槻 うん。僕はインサイドにクラブを上げると、トップでシャフトがクロスしてダウンスウィングでアウトサイドから下りてきてスライスになりやすい。でも、やや外めにオープンに上げると、ダウンスウィングでインサイドから下りてくるから、あとはフェースコントロールとフォロースルーの抜き方でドローを打っている。

時松 フォローの抜き方が全然違いますもんね。

大槻 持ち球のドローの場合はちょっと外めに高く振っていくイメージで、カットめに打ちたいときはフォロースルーを長く取る感じだよね。

フォローの抜き方で球筋チェンジ!

「ドローは外めに高く振っていくイメージで、カットはフォロースルーを長く取る感じです」(大槻)

時松 それで納得できる持ち球を打てるんですね。大根切りのスライスが持ち球の僕にとってはすごく勉強になります。ところで、将来、海外に行く気持ちは?

大槻 行きたいなとは思っています。ナショナルチームにいた選手はたぶん皆、海外志向が強いと思う。僕も小平もナショナルチームのときに海外で試合に行くたびに、「将来海外に行きたいね」という話をしていた。

時松
 2018年にはアジアンツアーのQTを受けて6位通過で、出場権を獲得しました。

大槻 もちろんアジアにも興味はあったけど、でも一番の理由はアジアンツアーからヨーロッパツアーに繋がっているからだった。最終的にはアメリカに行きたいけど、最初にQTを受けるならヨーロッパかなと思っていたから。

時松
 アジアのQTのとき、コースの芝はどうでしたか。

大槻 源ちゃんも知っていると思うけど、結構地面が硬かったりするしスコアは出る。いきなりアジアのQTを受けに行くと上手くいかないかもしれないけど、グリーンの止まり方とかも違うし。

時松 海外に出ることを踏まえて、今後はどういった予定ですか。

大槻 ヨーロッパでやるのであれば早いうちに行かないと、とは思っています。移動も含めて慣れるまでが厳しいと思うので。だから行けるなら、今年すぐにQTに挑戦したいと思っている。今年の目標に日本のメジャー優勝を挙げたのはそれもあって、6月のツアー選手権でもし勝てれば、今年ヨーロッパのQTに行けるから。

時松 海外は何がいいですか。

大槻 いろいろ気を使わずに済むから。日本だと先輩なんかに気を使うというか、それが嫌というより逆にやり過ぎるんだよね。意識がそっちに行ってしまう。だから、なるべくゴルフ場では真っすぐ前を見て歩くようにしている。いろんな人と目が合わないように(笑)。

時松 大槻さんの誠実な性格がよくわかりました。どうもありがとうございました!

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月15日号より