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【PGAツアーHOTLINE】Vol.16 プレジデンツカップ<後編>「米国選抜に勝つには」

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOT LINE」。第16回は、前回に続き来年9月に開催されるプレジデンツカップについてのお話。

ARRANGE/Mika Kawano 

2019年大会でD・ジョンソンとマット・クーチャーの組に勝利し、副キャプテンのT・イメルマンと喜びを分かち合うA・スコットとL・ウエストハイゼン(Photo by Rob Carr/Getty Images)

勝利のカギはチームの結束力

プレジデンツカップで2大会連続キャプテンを務めたアーニー・エルスは、言葉や文化の異なる選手たちの心を1つにするためのスローガンやチームロゴを提案しました。

前回は8カ国の選手がインターナショナルチームのメンバーに入り、普段は会話のない選手たちがその週は毎日一緒に過ごし親睦を深めたそうです。

大会中はベテランのウエストハイゼンが毎夜、チームメイトの前で得意のカラオケを披露。何気ない行動に思えますが、これがチームの結束力を高めたのです。


世界選抜のベテラン、ルイ・ウエストハイゼンの特技はカラオケ。得意の歌唱力でチームをなごませる

「ひとりひとりは優秀なプレーヤーでもチーム戦を戦ううえでもっとも大切なのはチームワークです」とイメルマン主将はいいます。

前回のメルボルン大会で松山英樹は年下のホアキン・ニーマン(チリ)と親しくなったようです。

「言葉はわからないけれどアイコンタクトでコミュニケーションが取れるようになった」とニーマン。「ヒデキはいつも僕のところにやってきて“レッツゴー、ニーマン”と声をかけてきた。滅多に話さないし、それまで声を聞いたこともなかったから、話しかけられただけでおかしくて笑ってしまった」

親交が深まるほどチームの雰囲気は上がっていきます。会話でコミュニケーションを取るのが難しい選手たちは、一緒に過ごす時間を多く取ることで打ち解け、お互いを認め合うようになるのです。

チリのホアキン・ニーマンは世界選抜で松山とチームを引っ張る存在(写真左から2番目)

「日本とチリの間には果てしなく遠い距離がありますが、マツヤマとニーマンの間に親近感が生まれたようにプレジデンツカップで一緒に過ごした時間は選手たちにとって一生の思い出になります。お互いを知りお互いの家族を知り1つのゴールを共有する。それは非常にエキサイティングなことで選手たちにとって楽しみなことでもあります。ともに笑い、からかい合い、人間性を理解する。そういう時間を大会が始まる前にできるだけ作っていきたい。それがチームワークに繋がるからです」とイメルマン主将。

過去1勝11敗1分けのインターナショナルに勝機があるとすればそれはチームの結束力。「次回は最高の戦いをお見せしますよ」というキャプテンの言葉を信じたいですね。

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月7日号より