【ゴルフ初物語】Vol.58 第1回スタンレーレディス優勝は吉川なよ子。稲見の快進撃もここから始まった
今週、静岡県の東名カントリークラブで行われる第32回スタンレーレディス。その第1回は1980年に埼玉県の埼玉アサヒカントリー倶楽部(現・ザ ナショナルカントリー倶楽部 埼玉)で開催された。
2003年から東名CCで開催
1980年に「スタンレーレディスプロゴルフトーナメント」としてスタートした第1回大会を制したのは、日本プロゴルフ殿堂入りも果たしている吉川なよ子。72年に23歳でプロテストに合格すると、79年の日本女子プロ東西対抗で初優勝。1カ月後には日本女子オープンを制しトッププロの仲間入りを果たしていた。だが80年はここまで未勝利。そのうっぷんを晴らすかのように、2位に7打差をつける通算13アンダーでぶっちぎりの勝利だった。
「優勝スコアは6、7アンダーと思ってたんです。トップと2位の差がありすぎますね。どうしてあんな好スコアが出たんでしょうね」とは2位の岡本綾子。だが当の吉川は「こんなに走ったのは初めて。ボールを打っているのか、走っているのか、わからないぐらい。ほんと、シンドイですよ」とコメント。実はさかのぼること1カ月前、熊本中央レディスで日蔭温子、松下美子、岩田ひな子、山口きみえの組が、日本女子プロゴルフ史上初となるスロープレーでの2打罰を受けていたのだ。その結果、ティーショットを打ち終えると、「やっぱり気になりますね。前の組がいなくなると、自然に走ってしまうみたいです」(森口祐子)と、誰からともなく走り出すようになり、スタンレーレディス最終日最終組のプレー時間は3時間45分と劇的に早くなった。
スタンレーレディスは93年の第14回大会のあと一時中断されたが、2003年から東名CCを新たな舞台に再開して現在まで続いている。初年度から“東名高速”と呼ばれる高速グリーンに選手たちは大苦戦。不動裕理も「これ以上速くされたら本当に困ります」と話していたが最終日に5バーディで逆転優勝。この年、10勝を挙げ年間最多勝利の新記録を達成した。
昨年は台風接近により2日目が中止。36ホールに短縮されたが、稲見萌寧がプレーオフを制して逆転優勝。2020-21シーズン初勝利を挙げ、シーズン8勝(9月30日現在)の足掛かりとなった
週刊ゴルフダイジェスト2021年10月19日号より