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【ザ・ノーザントラスト】「諦めずに走り続けてきてよかった」トニー・フィナウが5年ぶりV

PGAツアーのプレーオフシリーズ初戦「ザ・ノーザントラスト」は、ハリケーン襲来でコースがクローズに。一昨年のZOZO選手権以来の月曜日決着と相成った。

初日から首位を走った本命J・ラームは、予期せぬ中休みに「(コロナを2度経験し)自粛期間が長いから、ホテルでいかに退屈せず過ごせるかわかっている」と余裕のコメント。多くの選手が「部屋で休む」「映画を観る」とインドア派だったなか、2打差の4位につけていたT・フィナウは「どこか開いているコースを探して練習したい」と、はやる気持ちを抑えきれずにいた。そして迎えた最終日、予想通りラームが横綱相撲で世界ナンバー1の貫禄を見せつけ首位を走る展開となった。

ところが後半、磐石だったはずのラームが失速し、対するフィナウは12番からバーディ、イーグル、バーディで猛追。結局、フィナウとC・スミスのプレーオフとなった。

プレーオフで負けなし3連勝のスミスに対し、フィナウは1勝3敗と分が悪い。ツアー屈指の身体能力と飛距離を誇りながらも、いまだ1勝しかしていない理由は「性格が優しすぎるから」といわれ、またも敗戦の色が濃厚だったが、1ホール目でなんとスミスが無念のOB、フィナウが5年ぶりの栄冠に輝いた。

「初優勝のころと比べると、あらゆる面で進化を実感している。諦めず走り続けてきてよかった」と感慨深げに語ったフィナウ。この勝利で2000ポイントが加算され、ポイントランクは23位から一気に1位へジャンプアップ。年間王者争いに名乗りを上げた。

「あと2つ大きな試合が控えている。いいプレーができているのでこれからが楽しみ。未来が明るいことを願っているよ」

世界ランクも自己最高タイの9位に浮上。仲の良いラームに競り勝ったことが「大きな自信になった」というフィナウが台風の目になりそうだ。

“心優しき巨人”が待望の2勝目(写真は2020年ファーマーズインシュランスオープン。PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より