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「日傘を持つほうが疲れる」五輪で躍動インドのアショク。プレーだけじゃない魅力

TEXT&PHOTO/Shizuka Minami

東京五輪の女子ゴルフでひときわ異彩を放っていたのがインドのアディティ・アショク。世界のトッププレーヤーに交じって堂々たるゴルフを展開したが、彼女のコメントの端々からも、その魅力が伝わってきた。

世界ランク200位の選手がメダル争いの中心にいた。その伏兵が、米ツアーと欧州ツアーを主戦場とする23歳のアショク。予想外の大活躍に、母国インドのSNSでは、アショク関連のキーワードが1位に。4位入賞と見事な成績だったが、人々を引きつけたのは、技術だけではない。

霞ヶ関CCでの練習日、「この暑さなら大丈夫です。45度前後のなか、プレーしたこともあるんで」とケロリ。インドでは40度超えでも大会が開催されるため、暑さに慣れているという。日本の猛暑日を平然と受け入れる頼もしいお言葉。

初日終了後は「前回のリオでは、エースキャディの父と共に五輪の素晴らしい体験をしたので、今回は母と一緒にと決めていたんです」。母親はゴルフに詳しくないため、クラブ選択などをアショクが一人で決断。2位という好スタートを切った。

2日目終了後は「前回、日傘を使ったのはいつ?」という報道陣の問いに「一度も使ったことはありません。ラウンド中にずっと日傘を持つほうが疲れると思うので……」。連日の最高気温36度より、日傘を持つほうが疲れるというパワーワードで度肝を抜いた。

3日目終了後は「5月と6月にコロナにかかっていました」。その影響で飛距離が約15ヤード落ちたという。五輪でのドライバーの平均飛距離は60選手中59位。だが、本来の調子からほど遠くても、首位と3打差の12アンダー2位。最終日はインド人初のゴルフのメダルに期待がかかるも、1打及ばず、2位決定戦のプレーオフを逃した。試合後に「100%自分の力を出し切りました」と締めくくった。

メダルには届かなかったが、大舞台に臆することのない素晴らしいプレー。アショクの頑張りをツイッター上でインドの大統領もねぎらった。

母とともに五輪の舞台へ。最高の親孝行だ

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月7日号より