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芝生もトレーニング!? 酷暑の五輪ゴルフを支えたグリーンキーパーたちの“もうひとつの闘い”

「酷暑との闘い」と言われた五輪ゴルフ会場・霞ヶ関CCで繰り広げられた、もう1つの闘いとは……。

それはベントグリーンと高温との闘い。ベント芝は、もともと寒冷地が原産であり、いくら品種改良したといっても高温下での育成は簡単ではないうえ、プロ競技では硬く速いグリーンが要求される。

そのためには試合期間中、なるべく散水を抑え、硬いグリーンを維持する必要がある。その一方で、酷暑下でそれをやると芝は枯れてしまう。この矛盾にどう向き合うかがグリーンキーパーたちの頭を悩ませる。

五輪に向けてメンテナンスを担当してきたグリーンキーパーの東海林護氏の話。「開催時期は1年間で最も厳しい時期であることは、最初から決まっていたことでした。ですから、この数年間、とにかく健康で元気な状態を維持することに努めました。また、事前に大会期間中のスピードや硬さの具体的目標値は決められていませんでしたが、いつでもトーナメント仕様のコンディションにできるよう、年に数回、可能な限り短く刈り込んだり、硬くしたりと芝生を“トレーニング”していました。苦労した点は、芝は“生き物”であるがゆえ、一度悪くしてしまうと回復に時間がかかってしまうこと。コンディション維持にはとにかく気を使いました」

そして始まった本番──。結論をいえば、あの暑さで硬さは出ずとも、速さは一定に出ていた。男子初日はあの時点での完璧といえるセッティングだった。ただ、日を追うごとに、グリーンが軟らかくなっていったことは、スコアに如実に表れている。それは女子の試合になって顕著となったが、超高温多湿のなか、2週間もグリーンを「持たせる」ことができたこと自体を称えるべきではないだろうか。

とはいえ現場の目は厳しい。「映像で見るより実際のほうが芝生は傷んでいました。大会直後から散水量を増やし、刈り高を上げて、完全に養生管理に切り替えています。それでも芝を張り替える箇所も出ています」(東海林氏)

同CCは五輪終了直後から五輪用施設の撤去とコース復旧作業を開始していて、西コースは9月上旬、五輪が行われた東コースは10月上旬から営業再開予定という。

キーパーたちの見えない努力が最高の戦いを演出した

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月7日号より

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