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【スウィング研究】ザンダー・シャウフェレ「まるでベン・ホーガン!」飛距離の秘密はアドレスにあった

五輪ゴルフで金メダルに輝いたザンダー・シャウフェレ。 身長178cmと米ツアーでは小柄な体格ながら、平均310Y近く正確に飛ばす技術について、内藤雄士コーチに話を聞いた。

PHOTO/KJR

解説/内藤雄士

日大在学中に米国留学しゴルフ理論を学び、プロコーチとして丸山茂樹など多くのプロをサポート。今は高井戸ハイランドセンターでラーニングゴルフクラブを設立し、ゴルフ指導、ゴルフアナリストとして活躍

いいインパクトは“アドレス”で作る
まさに模範です

勝てそうで勝てなかったシャウフェレが、ついに勝ったのが五輪の大舞台でした。国の代表という動機が強い集中力につながったようにも感じました。

シャウフェレが飛距離と正確性を併せ持つのは、何よりも「模範」的アドレスに尽きます。まずはグリップ。左手はややストロングで、右手はスクエア。右の親指と人さし指で作るV字が体の中央、自分のあごを指しています。D・ジョンソンやB・ケプカなどシャットフェース&ロースピンを意識したストロンググリップの選手が多いなか、彼のグリップはとてもバランスが取れています。過剰なハンドファーストインパクトにならず、弾道の強さや高さ、スピン量がすべて適正に近づきます。

両腕の向きも理想的。左右のひじ頭が体側(内側)を向いています。実際にやるとわかりますが、両ひじ頭が外側を向くと肩は上がり、体側へ向けると肩が下がります。肩甲骨が自然な位置に収まっているので、右わきが締まり、(前述の)右手V字の向きが変わらないままボールを押すように打ち抜けるのです。

始動以降は、トップ直前までノーコック、切り返しでクラブ重量を生かしたタメが入り、フェースローテーションも抑えすぎず自然に回転。どちらかといえばクラシカルな動きで、若い頃のベン・ホーガンと重なります。コーチのお父さんがホーガンを研究して参考にしたのではないか、と推察したくなりました。

【アドレス】右手のV字が締まりあごを指している
【テークバック】ノーコックで上げていく
【トップ】指先、手首、ひじにゆとりがある
【ダウンスウィング】クラブの重さを生かした自然なタメ
【インパクト】右手のV字の向きがアドレスと同じ

ベン・ホーガンを彷彿とさせる

>>ベン・ホーガンの貴重なスウィング写真はこちらから

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月24・31日合併号より