【ゴルフに運はつきもの】Vol.12「どうせなら地の利を生かした純和風コースでやってもよかった」
ILLUST/Masahiro Takase
最強のサラリーマンとしてアマチュア時代に輝かしい成績を収め、49歳でプロ転向した“中年の星”こと田村尚之プロ。群雄割拠のシニア界で気を吐く異色プロが、自身のゴルフについて、そしてシニアツアーの裏側について語る。
気候、食事、芝
開催国のメリットは
はかりしれない!
いよいよ東京オリンピック、ゴルフ競技が開催されますね。
日本代表、男子は松山英樹選手と星野陸也選手。女子は畑岡奈紗選手と稲見萌寧選手。まあ順当と言えるでしょうね。結果的に男子も女子も、世界で活躍しているトッププレーヤーと、日本を主戦場として戦ってランキングを上げて選ばれた選手の組み合わせになりました。
これはいいというか期待できるんじゃないでしょうかねえ。なぜなら、間違いなく地の利を生かせるはずですから。
とくに星野選手と稲見選手は、普段から日本を主戦場として戦っているわけですし。間違いなく高麗芝への適性は一番高いはずです。ゴルフ競技では、これ以上ない幸運と言えるでしょうね。気候にしても食事にしても、有利に働くことはあっても、不利になることは何一つないはずですから。男子も女子も、なんとか最低ひとつはメダルを獲ってもらいたいところです。
私個人としては、“東京”オリンピックのゴルフ競技が埼玉県のゴルフ場で開催アリというなら、いっそのこと兵庫県の鳴尾ゴルフ倶楽部か、山口県の下関ゴルフ倶楽部でオリンピック競技をやってもらえれば、さらに日本選手のメダル獲得の確率が高くなったんじゃないかと勝手に思っていますが(笑)。
ともに距離はありませんが、グリーンが非常に小さく、また樹木がせり出したドッグレッグホールが多く、ちょっと曲がればすぐにダボ確定、本当に難しいですから。飛距離自慢の海外の選手には、ストレスが溜まるんじゃないでしょうかね。特に鳴尾はバリバリの高麗グリーンですから、欧米の選手はかなり戸惑うはずです。もし仮に、鳴尾でオリンピックが行われたら、台湾選手が強敵かもしれません。
とはいえ、男子は各国の代表選手が超強力メンバーですよね。アメリカ代表は、ジャスティン・トーマス、コリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレ、パトリック・リードの4選手。アイルランド代表にはローリー・マキロイもいます。
日本でこれだけの選手が揃うこともなかなかないことですし、なんとか有観客で開催されて、ギャラリーの方々にも間近で見ていただきたかったものです。
ちょっと心配なのは、松山選手がコロナに感染してしまったことです。ワクチンは打ってなかったようですが、彼のことだから間違いなく感染予防には細心の注意を払っていたはずです。もしかしたら松山選手はオリンピックがぶっつけに近い状態での出場になるかもしれませんが、いい意味でリフレッシュととらえて、ぜひとも頑張ってもらいたいです。
オリンピックのゴルフ競技では、選手だけではなく、帯同キャディやコーチ、トレーナーなど、周りの関係者がコロナに感染しないかが非常に気がかりです。もし仮に関係者の感染が判明してしまったら、濃厚接触者として、その選手の隔離が必要となり、出場できなくなる恐れがあるからです。そうならないためには、濃厚接触者に認定されないように、普段身近にいる関係者とも、距離をおいておく必要があります。それがどこまで徹底できるかどうか……。今回のオリンピックはいつも以上に精神力が問われる大会になりそうです。
がんばれ!ニッポン!
田村’s ワンポイント
ヘッドを走らせるときはグリップを引く
田村尚之
1964年6月24日生まれ。「日本ミッドアマ」2連覇、「日本アマ」2位などを経て49 歳でプロへ転向。2016年「富士フイルムシニア」でツアー初優勝
月刊ゴルフダイジェスト2021年9月号より