【わかったなんて言えません】Vol.43「飛ばしか、方向性か」ゴルフはないものねだり
PHOTO/Hiroaki Arihara
「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは、先週に引き続き北海道出身の片岡尚之プロ。飛距離を取るか、方向性を取るか。これはプロにとっても悩ましい問題のようです。
ホスト/時松隆光
1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん
ご指名/片岡尚之
1997年生まれ、北海道出身。14年の日本ジュニアで北海道の選手として初めて優勝。東北福祉大4年時にプロ転向。今年、プロ入り4戦目で初優勝!
時松 誰と同級生だっけ。池村(寛世)や比嘉(一貴)?
片岡 いえ。寛世さんも一貴さんも2つ上です。97年生まれで大岩龍一や古川雄大、石崎真央なんかと同級生です。
時松 池村くらいまではわかるけど、それより若くなると……だから挨拶なんかは難しいんだよね。一応、「おはようございます」と挨拶はするようにしているけど。もし「オッス」なんて挨拶した人が年上だったらまずい。
片岡 なるほど。ところで、日本ツアーで戦ううえで、コレをやっておけば間違いないみたいなものってなんでしょうか。
時松 う~ん。やっぱり先輩に好かれるというのは大事だと思いますね。
片岡 あ、技術的なことなどじゃないんですね(笑)。
時松 そこは、やりやすくできる環境にすることがよいプレーにつながると思うから(笑)。
片岡 確かに。ペアリングで一緒になるときなんかを考えれば、絶対にそうですよね。
時松 片岡くんは、ゴルフ以外は何をしているの。
片岡 じつは、趣味があまりなくて、最近は美味しいラーメン屋巡りなんかですね。あと、オフはけっこうユーチューブをずっと見ています。
時松 ゴルフ関係のやつ?
片岡 ゴルフのも見ますけど、最近は『コムドット』なんかをめっちゃ見てます。
時松 わからない……。
片岡 同年代のグループ・ユーチューバーなんです。あ、そういえば大学(東北福祉大)のときはボウリングが好きで、死ぬほど投げていました。
時松 へえ。ハイスコアは?
片岡 「269」でした。
時松 すごい!
片岡 夜8時から朝6時までに40ゲームくらい投げたりしていましたね。
時松 ハマるととことんやるタイプなんだろうね。ゴルフはどうだった?
片岡 小学校から習っていた先生に高校までは教わりました。大学に入ってからは自分でスウィング動画を撮って、プロの動画と見比べてみて、クラブのプレーンの乗り方なんかを確認するということをしていました。
時松 いつから飛ぶようになったの?
片岡 大学に入ったときには270Yくらいしか飛ばなかったんです。大学1年生のとき、それまでずっと悩んでいた腰痛が、日常生活にも支障が出るレベルにまでになって、次の年の春までゴルフができなくなってしまった。その間は治療したり腰に負担がかからないトレーニングをしたりして過ごして、打ち方を忘れるくらいの状態になりました。8カ月後にクラブを持って振ったときは、久しぶりすぎて、本当にうまく振れなかったんですよ。でも、しばらく頑張って振っていたら、あるとき一気に20Yくらい飛距離が伸びたんです。
時松 えぇ! なんでだろう。
片岡 よくわからないですが、スウィングはまったく変わりましたね。
時松 どういうふうに?
片岡 頑張って振っているうちに、左足をバーンと蹴って地面反力を使えるようになっていって、そうしたら20Y飛距離が伸びていたんです。
「頑張って振っていくうちに、左足をバーンと蹴って地面反力を使えるようになっていき、飛距離が伸びていたんです」(片岡)
時松 今のスウィングを見てても、すごくスピーディに振るし、トップもコンパクトで体のキレがいいよね。今は、どういうことを意識しているの。
片岡 確かに、浅いトップからシャローめに打っていく意識はあります。あと、自分の悪いクセで右肩が下半身と一緒に前に出ちゃうんです。そういった“ドアスウィング”みたいにならないように、切り返すときに上半身を一緒に横に回さない感じ、左肩を下げて右肩を上げるイメージで打っています。時松さんは飛距離を伸ばしたいですか?
時松 伸ばしたいですね。
片岡 スウィングを変えて伸ばしていこうと?
時松 いや。スウィングを変えようとは思わないですね。小さい頃からやっているスウィングだから、ある程度でき上がっているものだと思うので、それを急に変えるのは怖い部分もあるし、変えてよくなればいいけど、悪くなる可能性も十分にある。肉体は変えようとは思っています。少しずつだけど。なんとなく腕のあたり……どう?(笑)
片岡 僕はスウィングを変えてばかりです。2つ下の杉原大河に40~50Yも置いていかれると……。あんなに飛べば楽しそうだなって思いますし。その一方で曲がらない選手を見ていると、自分もフェアウェイにいっておけばなと思ったりもします。
時松 稲森(佑貴)くんなんか見てるとそう思うよね。日本オープン2勝だからね。
片岡 そうなんですよ。そう思うと曲がらないのが正義なのかなとも思ったりします。
時松 ゴルフやってると、ないものねだりになっちゃうよね。
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月10日号より