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【ゴルフ初物語】Vol.45「1972年日本オープン。NHKがゴルフの実況中継をスタート」

今週、日本アマが開催される茨城県の大利根カントリークラブ。名匠・井上誠一の設計で1960年に開場し、これまで日本オープン、日本女子オープンなど、数多くの熱戦の舞台となってきた。

1972年の日本オープンで優勝した韓長相

テレビ中継がゴルフブームに拍車をかけた

日本で初めてゴルフがテレビで全国中継されたのは1957年のカナダカップで日本テレビが放送。日本における「見せるゴルフ」「見るゴルフ」の始まりだったが、それから15年後の1972年、ついにNHKがゴルフの全国中継をスタートさせた。

前年にプロデビューした尾崎将司の出現がゴルフブームに火をつけ、71年には34試合だった試合数も72年には47試合に急増。賞金も多額になり、JGA(日本ゴルフ協会)が主催する日本オープンでも賞金総額を倍増すると同時に、ギャラリーの観覧を有料制に踏み切った。そしてNHKが、開局以来初めてのゴルフのテレビ実況中継も実施。その初舞台となったのが大利根カントリークラブ東コースだった。優勝は韓国の韓長相(ハン・ジャンサン)。165センチの小さな体をいっぱいに使った闘志あふれるプレーで、2位の尾崎将司を退けての快挙だった。

前年には西コースで第4回日本女子オープンが開催され、樋口久子が4連覇を達成しており、大利根CCでは2年連続のナショナルオープン選手権開催だった。その後も、2008年から2010年の3年間はレクサス選手権、2010年には東コースが2回目の日本女子オープンの舞台となり、宮里美香が優勝している。

地形に恵まれた大利根カントリークラブは深い松林に造られたコースで、設計した井上誠一が「二度と手掛けられない価値のあるゴルフ場だ」と語ったといわれる。松や杉などの巨木が林立する林間コースとして、開場当初から注目を浴びた。開場3年後の1963年にはジャック・ニクラスが来場してプレー。「日本では廣野と大利根が良いコースだと思ったが、とくに大利根はレイアウトとメンテナンスが素晴らしくて感心した」と絶賛している。

1963年9月29日に来場し、豪快なプレーを披露したジャック・ニクラス。来日中にプレーした5コースのうち廣野GCと大利根CCが良いコースだと評価した

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月13日号より