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多いのは日大? 東北福祉大? プロの出身大学を調べてみた「男子ツアー勢力図」

男子ツアーでは、かつては日本大学ゴルフ部出身者が数多く活躍していたが、近年では松山英樹の母校でもある東北福祉大出身者の勢力が上回っている。現在活躍している選手たちの出身校を知ると、男子ツアーがもっと面白くなる!

10年前は日大が多数派だったが
現在は東北福祉大が優勢

名プレーヤーを続々輩出
東北福祉大学

1989年創部の東北福祉大の名を一躍全国に知らしめたのは、98年。それまで日本大学が四半世紀もの長きにわたって勝ち続けてきた大学対抗戦「信夫杯」で、日大の26連覇を阻止したのだ。この大波乱の立役者は、96年入部のエース・星野英正。そこから東北福祉の快進撃が始まる。

東北福祉大ゴルフ部の歴史(1989~2010)

1996年に星野英正が入部し、翌97年には星野を慕って谷原秀人が入部。その後、98年に谷口拓也、99年に宮里優作、岩田寛、2004年に池田勇太、2008年に藤本佳則、そして2010年に松山英樹が入部した

松山英樹(29)

2010年入部/2013年プロ転向
在学中に10年、11年と2度アジアアマを制し、マスターズに出場。11年はローアマを獲得。大学2年のときに三井住友VISA太平洋マスターズで優勝を飾った

金谷拓実(23)

2017年入部/2020年プロ転向
高2で日本アマ最年少優勝。大学2年時の18年にアジアアマで優勝し、19年のマスターズに松山以来となるアマチュア出場を果たす。大学3年で三井住友VISA太平洋マスターズを制した

2010年の松山英樹から17年の金谷拓実まで、8年の間に入部した学生のなかで、高校ナンバー1を決める全国高校選手権を制したのが彼ら2名を含め、竹安俊也、小西健太、関将太と5人もいる。つまり、高校時代にすでに同世代のなかでは抜きんでた実力を持ちつつも、卒業後にプロにならず、大学へ進学しているということになる。

東北福祉大のゴルフ部にはアプローチ練習場やパッティンググリーンだけでなく、通称「砂地」と呼ばれるエリアから150ヤード先のグリーンを狙う特設パー3もある。さらに寒い仙台で年間を通して球が打てるよう立派な室内練習場やトレーニング施設が完備されている。この充実した設備のなかでレベルの高い先輩・後輩と切磋琢磨すると、プロでも勝てる“強い選手”になれるのだ。

東北福祉大の練習施設

2010年以降入部した主な東北福祉大出身者

ツアー実績No.1の古豪
日本大学

「学士プロ」と呼ばれた大学出身プロの先駆けが、日大出身の倉本昌弘、湯原信光、そして専修大出身の羽川豊で“ニューウェーブ三羽烏”と呼ばれた。そして片山晋呉、宮本勝昌、横尾要は“日大三羽烏”と呼ばれ一世を風靡。そして今年、新たな“日大三羽烏”がデビューした。

3人でメジャー13勝
元祖“日大三羽烏”

91年に片山、宮本、横尾が日大入学。その年に宮本が先輩・丸山茂樹を破って日本アマを制覇。93年に横尾が、94年に片山が日本学生を制した。95年に同時にプロテストに合格し、3人合わせてツアー48勝(うちメジャー13勝)を挙げている

98年に星野英正率いる東北福祉大に敗れて以来、団体戦では後塵を拝すことが多くなったが、だからといって日大にいる選手が弱くなったということではない。その証拠に、アマチュアナンバー1を決める日本アマでは09年宇佐美祐樹、10年阿部裕樹、12年小袋秀人、17年大澤和也、19年木村太一と日大生が優勝している。また団体戦を見ても、07年に全国大学対抗戦を10年ぶりに制したときのメンバーには重永亜斗夢や木下裕太が、13年に信夫杯を16年ぶりに奪還したときは堀川未来夢がおり、その後のツアーでの活躍は周知のとおりだ。

期待の新星、新・日大三羽烏

17年に清水大成、18年に桂川有人が日本学生を、19年に木村太一が日本アマを獲得し、新・日大三羽烏として今年ツアーに殴り込み。東北福祉大出身の金谷拓実と同学年だが、日大も負けていない

出場4試合でTOP10が3回
大岩龍一にも注目!

大学2年で中退後、18年国体で優勝し同年秋にプロ転向。19年はアジアの下部ツアー「ADTツアー」で賞金ランク9位。武器はパッティング。23歳

現在ツアーで活躍中の日大出身者たち

選手だけでなく名コーチも輩出
松山英樹のプロ入り後初めてのコーチとなった目澤秀憲は日大卒で年齢は松山の1歳上。また、松山と同級生の黒宮幹仁もプロコーチとして活躍中。そのふたりだけでなく、小祝さくらや上田桃子のコーチである辻村明志、丸山茂樹のコーチである内藤雄士、久保谷健一のコーチだった石井忍も日大卒。指導力が高いプレーヤーを輩出している

日大・東北福祉大の2強を追う
伝統の専修、新興の大阪学院

男子は東北福祉大と日大が2強といっていいが、藤田寛之らを輩出した専修大、新興勢力の大阪学院大も忘れてはいけない。すでにツアーで活躍中&今後活躍が期待されるプロを紹介!

●15年、16年と信夫杯を連覇した関西の雄

大阪学院大学

木下稜介(29)

4年時の13年に朝日杯を制す。20年SMBCシンガポールオープンで有資格者を除く上位4人に入り全英オープン出場権を獲得

大堀裕次郎(29)

在学中にドライバーイップスになるも、湯原信光に弟子入りして克服。13年に日本アマを制し、関西オープンでもローアマを獲得

亀代順哉(26・左)
長谷川祥平(27・右)

長谷川は13年アジアアマ2位、15年日本学生優勝。亀代は16年日本アマを制するなど、在学中から世代トップの実力を示していた。プロ入り後は伸び悩んでいるが素材は一級品。これからに期待

●16年にOBの羽川豊が監督に。レギュラーツアー6人計29勝

専修大学

藤田寛之(51)

学生時代やプロ入り当初は目立たなかったが20代で1勝、30代で5勝、40代で12勝と年齢を重ねて勝ち星が増えた、まさに「中年の星」。レギュラーとシニアの二刀流でツアーを盛り上げる

横田真一(49)

3年時に日本オープンでローアマ。選手会長を務めた。今はツアー参戦しつつ裾野を広げるためにユーチューバーとしても活躍

近藤智弘(43)

3年時の98年に日本学生制覇。アジア大会個人金メダルを獲得し、鳴り物入りでプロ転向。生涯獲得賞金25位以内の資格で参戦中

山田大晟(26)

2年時の15年信夫杯では2日目に134ストロークで回り、最優秀選手に選出。目標は日本オープン優勝と海外参戦

出身校別の優勝者数を10年前と比較

2011年は強豪ゴルフ部のある大学出身者がズラリと並び、群雄割拠の時代だった。しかし今シーズンは試合数が少ないとはいえ、東北福祉大が3人で4勝、日大が1人で3勝と、この2強で占められている。また、11年は30代が多かったが、今期は岩田以外は20代前半がほとんどで、若手の強さが際立つ

ツアーでもすでに活躍
プロを脅かす大学生アマ

男子レギュラーツアーでのアマチュア優勝は4人。現在在学中の大学生アマの中にも、すでにツアーで上位争いを繰り広げる強者が多数いる。この中から新たなアマチュア優勝者が誕生するかも!?

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月22日号より