【インタビュー】河本結<後編>「夢を成し遂げるため、年間女王の称号が必要なんです」
週刊ゴルフダイジェスト
昨年、キャリアハイのメルセデス・ランキング3位となった河本結。若手が躍進する国内女子ツアーで、どのような思いで戦っているのか。引き続き話を聞いていこう。
PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki

>>前編はこちら
- 昨年、キャリアハイのメルセデス・ランキング3位となった河本結。若手が躍進する国内女子ツアーで、どのような思いで戦っているのか。プロ入り9年目の今シーズンに向けた決意と準備を聞いた。 PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki 河本結 かわもと・ゆい。1998年生まれ、愛媛県出身。リコー所属。5歳でゴルフを始め、松山聖稜高を卒業、日本体育大学在学中の1……
ゴルフを通じて
感動、勇気、元気を!
再び、米LPGAに挑戦することはあるのだろうか?
「まったく考えていないです。もちろん、メジャーには参戦しますけど、自分の成し遂げたいことが今シーズンは年間女王になることですから。それに、年間女王になった後にさらに成し遂げたい夢が
あるんです。それがアメリカには関係ないから」
その夢とは――。
「私の根本には、ゴルフを通じて、多くの人に感動とか勇気とか元気を与えたいという思いがあります。それを与えるためには成績を出していないと注目してもらえない。だから勝たないといけないんです。具体的に言うと、たとえばゴルフや他のスポーツがしたくても金銭的にできない子や、夢を持っていても塾にいけない子たちに、何か還元できるといいなと考えています。それを成し遂げるには、年間女王という称号が必要。私の夢に、年間女王というクリアすべき“門”があるんです」
以前、脳科学の専門家が、「自分中心ではなく、社会還元的な思いがあるアスリートこそ、脳が働き最終的には強い」と言っていた。
「私も若くて、まだ苦労もしていなかった頃は、自分中心だったと思います。でも、いろんな経験をして、いろんな感情に出合って、いろんな気持ちになったから、こうなったんです」
ファッションもメイクも
プロとして必要な作業
河本結はとても可憐でおしゃれだ。何より自分に似合う服やメイクを知っている。これらは全部自分で選び、作り上げている。
「色彩心理学の勉強もしました。たとえば前夜祭などでは、スポンサーさんのコーポレートカラーも考えますし、同じ業種だと同じ方が集まることも多いので、特に同じ服は着ないようにします。でもこれも仕事ですから、やって当たり前。それだけ報酬をもらっているんですから」
買い物は基本、ネットで行う。買う物はけっして高価なブランドものばかりではない。
「何でも着ます。でもある程度よい服を着て、ジュエリーも身に着けたい。子どもたちに夢を与えたいし、やっぱりヨレヨレだとダメですよね。何より自分に似合うだろうという服を選ぶようにしています。ゴルフウェアも似合うように努力はしています。ウェアの色に合わせてチークやリップを替えたり、ピアスを替えたり。もちろんウェア自体、毎日替えます。同じ服や色を着ていたらカメラマンさんも困るでしょう(笑)。色などを合わせることは悩むし、それを考えて決断することにも能力を使う。それがゴルフにつながるとも思っています。シーズンに入ると、キャロウェイさんから30種類くらいウェアが送られてくるから、色の系列ごとに分けておいて、だいたいの組み合わせを決めておく。こだわるぶん頭を使うから先にやっておくんです。仕事であるゴルフそのものに頭を使いたいので。これはスティーブ・ジョブズに学びました。彼は、ずっと同じ服を選んで着ていますけど(笑)」
睡眠時間確保のため、メイクは車のなかで行うことが多いという。
「メイクもプロとして必要な作業です。でも初優勝のとき、メイクさんに“小顔に見える”と聞いて、アイシャドーを入れたんですけど、眉毛書きを使ってしまって、実際トロフィを持って写真を撮るとき、フェースラインが黒くなってしまったんですよ。ひどい顔で。初優勝でドキドキしていたのもあるんですけど(笑)。それで、自分に似合うメイクを覚え始めたんです。今となればかわいい話。あのときの写真は残っているから、見てください」
河本は“失敗”を経験に変えることができる。そして、年齢を重ねるごとに視野を広げ、人間力が積み重なっている。河本結が最終的に目指すものは、人間力の“女王”かもしれない。
「私、イライラすることも少なくなったかもしれません。あとは、本当にお金に興味がなくなった。そもそも自分が贅沢するために稼いでいるわけではないし、両親もそのために苦労して育ててくれたわけではないから。そういう気持ちって、還元するしかない。人間は絶対に死ぬんだから、次につなげるしかないんですよ」
若手選手に差をつけるべく
「人が意識しないところにも気を配る」
3月の開幕戦に向けて、すでに新しいスタートを切っている。
「このオフも人が気にしてないところまで意識しようと改めて思って実行しています。そこで差をつけたい。若い選手には勢いはあると思います。でもそれに勝るものが絶対にあるから。私は私のやり方で、と思っています。今までと違うエッセンスを取り入れていきたい。たとえば、体の面では、他のアスリートの自主トレに参加させてもらって知ったピラティスを取り入れました。体調面は、毎日の体への意識の仕方を変えて、呼吸法で内臓をもっと動かしていけば、末端に力が入らず体の張りもなくなると考えています。若い選手に勝っていかないといけないので、休息の入れ方や試合の休み方も考えていかないといけないなあと思っています」
可憐にストイックに、河本結は女王への道を真っすぐ進む。

地元、松山には年末年始に毎年帰省する。3年前からはジュニア向けのスナッグゴルフのイベントにも参加している。「松山は大好き。本当に人がいいんです!」。ドリームフォーサムを聞くと、「家族! お父さん、お母さん、(弟の)力と4人で」と即答。「海外の素敵なコースで回りたいですね」
ストイックすぎる河本に結婚の話をしてみた。「最近女子プロがみんな結婚していますよね。私だってしたいですよ。でも、年間女王になるまでは! という気持ちが強すぎて……」。その先に、きっとまたいい出会いがあるはず!

週刊ゴルフダイジェスト2026年2月10日号より


レッスン
ギア
プロ・トーナメント
コース・プレー
書籍・コミック




















