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【インタビュー】河本結<前編>年間60冊! 本を読む理由は「イメージ力を高めるため」

昨年、キャリアハイのメルセデス・ランキング3位となった河本結。若手が躍進する国内女子ツアーで、どのような思いで戦っているのか。プロ入り9年目の今シーズンに向けた決意と準備を聞いた。

PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki

河本結 かわもと・ゆい。1998年生まれ、愛媛県出身。リコー所属。5歳でゴルフを始め、松山聖稜高を卒業、日本体育大学在学中の18年プロ入り。この年ステップ・アップ・ツアーで4勝を挙げ賞金女王に。19年にレギュラーでも初優勝し、同年米LPGAのQシリーズで9位に入りアメリカへ。21年から主戦場を再び日本国内へ戻す。昨シーズンは2勝を挙げ、メルセデス・ランキング3位に

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読書=瞑想
昨年は60冊読破

河本結はよく本を読む。昨年は年間60冊の本を読むという目標を立て、実際に達成した。読む本は、自己啓発本、実用書、小説など幅広い。

「この本はお風呂でも読んでいるのでヨレヨレ(笑)。読んでいて気になる言葉などが出てきたらぺージの端を折ってしまうんです」

河本結はなぜ本を読むのか?

「読書って瞑想でもあるんです。自分で考えるから。小説も、登場人物が自分の想像した音程でそのセリフを話したりする。それがすごく好きです。自分の世界で物語を作れるじゃないですか」

携帯などから便利な情報があふれる時代、本を読むことでイマジネーションが養われるのだという。

「試合でもイメージを大事にしているから。私のゴルフはスウィングの良し悪しだけではなく、イメージする力が劣ったらダメになる。その力をつけるために小説を読んでいます。それに、私の物事に対する感情と、他の人が思うことは絶対に違う。それをもっと理解できれば、インタビューで言語化することや見えないオーラ、そういうものに関わってくる気がして。そういった少しのことで、前夜祭やプロアマなどで1日ご一緒しただけでも、すごく応援してもらえる選手になれると思うんです」

「イメージ力を養うためにも本を読んでいます」

今、実際に河本が読んでいる本を持って。「自己啓発本には、今の私に必要ない言葉もあるので取捨選択しています。これから東洋医学も学ぼうと思っているんですよ。これはトレーナーさんにもらった本。彼に本を送ったら、1冊返ってきました。LGBTの男の子の話。面白かったです」

若い選手の台頭に
気持ちが引き締まる

昨年は2勝を挙げ、賞金ランキング2位、ポイントランキング(メルセデス・ランキング)は3位と自己最高位で終えた河本。ただ、目標の年間女王には届かなかった。

「全力でやったから、後悔はない。でも、年間女王になれなかった悔しさはめっちゃあります」

1年を通して、調子がずっとよかったわけではない。

「体調を崩したことも多かったんです。それは反省点です。風邪もひいたし。熱中症にもなったし」

しかし、スタッツを見ると満遍なく上位にいる。

「平均パット数の1位は、3年間やり続けてきたことが実った感じです。それでも、目標とする数字には全部届かなかった。順位は、自分より上にいた選手がアメリカ挑戦などでいなくなったので、ランクが上がったとも言えます。自分は何も上手くなっていない。そう感じる部分があることが悔しい」

悔しさがある限り、人は成長し続ける。“黄金世代”の仲間たちには、米LPGAで活躍する選手も多い。若い選手たちも次々と台頭してくる。そんななかで、日本ツアーを引っ張っていきたいという思いはある。

「気持ちが引き締まりますね。私にできることは、アドバイスすることより、背中を見せること。実際、いろいろなことを聞いてくれる若い選手や『憧れています』と言ってくれる新人の子もいます。そういう選手であり続けるために、人が気づかない細部まで気を張ることで、さらに生まれてくるものがあると思っています。だから若い選手にも感謝しているというか、もう一回しっかりしないと、というきっかけをくれます」

これこそが、河本結というプロゴルファーだ。自分で決めた道を真っすぐに進む。

努力を積み重ねる姿は
人の心を動かす

河本はここ数年、さまざまなことを「やり込んだ」という。読書もその一つだ。

「栄養の勉強、就寝時間の管理、携帯を扱う時間を制限したり、全部に取り組みました。ここまでしていて、なぜ3位なんだろうと思いもしました。ゴルフメモを開いて、何が悪かったんだろうと」

しかし、こういった努力の積み重ねは、自身の成長を促すだけではなく、人の心も動かす。

「昨年末、スポンサーをしていただいている企業のトップの方から手紙が届きました。『人間力の成長に感心しています。友人やお客さんの評判は抜群です。所属プロとして私は誇りです。来年はさらなる高みを目指そう、期待しているよ』と書いてありました。とても嬉しかったです」

こうしてまた、人々の言葉を糧に、成長していく。

「メンタルトレーナーが同じ、あるトップアスリートの方が、普通、人があまり意識しないようなことまで意識したほうがいいと教えてくれました。たとえば生活のなかでは靴の履き方、お礼の仕方など細かいことです。私にはまだやり切れてないことがある、まだできることがあるんだということを見つけられたのがよかったです」

進む道にあるいくつもの扉を常に自分で開けていく河本。乗り越えられる試練しか神様は与えないという。

今シーズンのドライバーは新しいクアンタムを使用。「初速が上がったのとスピン量が減って飛距離も伸びた。棒球っぽく飛んでくれて、コンと勢いよく出ていく感じがするから、すごく気に入ってすぐに替えました。でもフェースはけっこうたわんでくれるので新しい感覚でもあります。飛距離は課題の1つだったので、このドライバーで今年、またチャンスが増えると思っています」

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週刊ゴルフダイジェスト2026年2月10日号より