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【新春ワイド特集2026】日本勢は5人がPGAツアー出場権獲得! LIVは54ホールから72ホールに

ここ数年、世界のプロゴルフツアーは大きく様変わりしている。LIVゴルフリーグという新興勢力の登場に始まり、日本の男子プロたちはこれまでになく積極的に世界進出を目指すようになった。2026年のツアーはどうなるのか? ご意見番としてお馴染みのタケ小山&内藤雄士に展望を語ってもらった。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、Yoshihiro Iwamoto、Getty Images

タケ小山(左) 世界中のツアーに精通するプロ。TBS「サンデーモーニング」の解説者としてもお馴染み。小誌で「世界パトロール」を連載中

内藤雄士(右) 丸山茂樹のコーチとしともに米ツアーを戦ったティーチングプロ。日本大学ゴルフ部コーチも務める。ハイランドセンター代表

LIVゴルフ
香妻は31位で約5億円!
26年は浅地洋佑が参戦

例年同様、タケ小山と内藤雄士の2人に2025年のツアーを振り返ってもらいつつ、2026年のツアーの展望を聞いてみた。最初のテーマは「LIVゴルフ」について――。

GD 25年のLIVゴルフリーグには、日本から香妻陣一朗選手が「アイアンヘッズ」のメンバーとして参戦し、ポイントランキング32位という結果でした。

タケ小山(以下タケ) 6月のダラスの大会で2位タイになったから、けっこう稼いだんだよね。

GD はい、約315万ドルですから日本円にすると4億8000万円を超えています。

内藤雄士(以下内藤) えっ、5億円近くも稼いでいるんですか?

GD 香妻選手はケガでシーズン初めの5試合を欠場していても、この結果ですから。ちなみにランク31位はブルックス・ケプカで、こちらはフル出場しています。

内藤 26年は浅地洋佑がアジアンツアーで出場権を得て、LIVに参戦するんですよね。LIVは予選落ちがないから確実に大金を稼げるので、洋佑も親孝行できそうですね(笑)。

タケ 浅地は内藤くんのハイランドで育ったんだっけ?

内藤 そうです。中学生のときにウチの特待生になって、練習していました。体は小さかったけど小技が上手かったですね。こんなに“出世”するとは思わなかったですが、とても嬉しいですね。

タケ アジアンツアーで年間王者になった比嘉一貴は、LIVには出られないの?

GD LIVに出られるのはアジアンツアーのうち、インターナショナルシリーズだけの上位2名なので、26年は浅地とスコット・ビンセントの2人です。

タケ LIVは54ホール競技だったのに26年からは72ホールになるんだよね。ノーマンが退いて、他のツアーとのギスギスした関係から協調路線になり、世界ランキングの対象試合になるようにまた申請したから、きっと世界ランクを意識して72ホールにしたんだね。

GD そうですね。54ホールだとポイントが少ないですから。

タケ でも、そもそもLIVってローマ数字で「54」を表していたわけだから、ある意味54ホールはLIVのアイデンティティだったのに。そういえば、ケプカもLIVをやめてPGAツアーへの復帰を考えているようだね。ケプカはまだグランドスラムも狙えるし、それを考えたら“真剣勝負”のPGAツアーのほうがいいと考えているんだろうね。

内藤 短パンはいて音楽が流れているなかでのプレーだと、やはり気合が入らないかもしれません。

タケ そうだと思うよ。

PGAツアー
金谷と久常はギリギリでシード獲得!
2026年も日本勢は5人

GD 25年はPGAツアーに日本から5人の選手が参戦し、松山英樹、久常涼、金谷拓実の3選手がシードを獲得しました。1年前のこの対談で内藤さんが「25年はPGAツアーのシードが125位から100位になるので、かなり厳しい戦いになる」と予測していましたが、その通りになりました。

タケ 松山は安泰だったけど、久常は95位で、金谷も99位。まさにギリギリだった。星野陸也は173位だったけど、公傷制度であと数試合は出られる。199位だった大西魁斗は26年はどうするの?

内藤 コーンフェリーですね。大変ですよね、シーズン序盤のあの“中南米シリーズ”は。小平智もあれで心が折れたって言っていました。バハマで始まり、パナマ、コロンビア、アルゼンチン、チリと続く。治安などもあり(コースとホテルを往復する)オフィシャルバス以外では外に出られない。

タケ でもリシャッフルがあるからスキップするのも難しい。平田憲聖は出ていたのかな?

内藤 全部出ていましたね。いきなりバハマで2位タイでしたから。

タケ あいつはガッツがあるな。

GD ところでランク99位の金谷選手の獲得賞金額を調べてみたら約146万ドルで日本円にすると2億3000万円くらいでした。

タケ つまりPGAツアーでシードを取るには、それくらい稼がないといけない。日本の賞金王のほぼ倍くらいなんだよね。

内藤 日本の男子ツアーのシード(65位)だと、25年は1000万円くらいでしたね。

タケ これだけ賞金額や試合数に差が出てしまうと、海外に出ていく日本の選手が、今後もますます増えていくだろうね。

内藤 米ツアーのQスクールの一次から挑戦した出利葉太一郎はファイナルには残れませんでしたが、飛距離が大きな魅力の選手。日大で杉浦悠太がキャプテンで出利葉が副キャプテンだったんですが、ラウンド中にGCクワッドで計測したらドライバーのキャリーが328ヤードでした。初速80m/sを超えるあの清水大成がその飛距離に驚いたと言うくらいですから、近い将来、海外でプレーするのを見るのが楽しみな選手です。

タケ 26年は松山、久常、金谷に平田と中島啓太、また5選手がPGAツアーに参戦するね。

内藤 ポイントは1月、2月のシーズン序盤。今田竜二くんも言っていたのですが、ビッグネームが出揃わない1月、2月にいかに上位に入れるか。スタートダッシュで稼げるかどうかが勝負ですね。

タケ 石川遼のコーンフェリー参戦も楽しみだね。ところでコミッショナーが交代する27年から、PGAツアーは試合数と出場選手が大幅に減るという噂があるね。なんかLIVがPGAツアー化して、PGAがLIV化している。

内藤 開幕も2月中旬という話らしいです。

タケ この件については1年後のこの対談でまた話そうね。

2027年からPGAツアーは試合数が大幅減!?

25年の最終戦「RSMクラシック」でハリス・イングリッシュがPGAツアーは27年から20試合くらいになると発言。さらにヒーローワールドチャレンジの公式会見でタイガーが同様の発言をしたことで、信ぴょう性が一気に高まった。なぜならタイガーは将来のツアーの在り方を協議する「未来競技委員会」の委員長を務めているからだ

週刊ゴルフダイジェスト2026年1月6日・13日合併号より