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【江連忠のPROJECT E】Vol.264 サム・スニード「ゴルフ史上、唯一無二の“リズムの天才”」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、GD写真部、Getty Images

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●今月のレジェンド●

サム・スニード

1912年米国生まれ。PGAツアー82勝(うちメジャー7勝)はタイガー・ウッズと並ぶ最多記録。最年長優勝(52歳10カ月)の記録も持つ


力みのない自然体なのに
飛距離も出た

オーガスタのロッカールームの天井に、飛び蹴りで足が届いたという逸話を持つスニード。ずば抜けた身体能力の持ち主で、ゴルフ以外のどのスポーツをやっても成功しただろうと言われています。

スニードは最多勝や最年長優勝だけでなく、シニアも含めると46年間勝利し続けたという記録を持つ偉大な選手です。

その驚異的な選手生命の長さの要因は、彼のスウィングが「オイリー」と評されていたことに関連しています。


体のすべての関節が、潤滑油たっぷりのように滑らかな動きをしていました。スウィング中にどこにも“きしみ”がなく、究極の自然体だったため怪我がなく長く活躍できたということです。

そして自然体だからこそ生まれるリズムの良さは、まるで音楽を奏でているようでした。力みが全くなく見えるのに、当時の道具で300ヤード飛んでいたというところも天才の証し。

ぜひ動画を見て彼のリズムと自然体を感じてください。

リズム感を磨きたいなら連続打ち

連続素振りや連続打ちを繰り返すことで、上体の無駄な力みは取れていきリズムが良くなる。素振りでもステップを踏みながら行うとリズムが取りやすい。無駄な動きがなくなりプレーンも良くなる

イップスに悩み「サイドサドル」を編み出した

全米OPで1m以内のパットを外して負けたことがあるイップスの持ち主だった。その後に編み出したのがカップに体を向けて立ち、体の右側で押すようにストロークする方法だった

サム・スニードの系譜を継ぐのはこの選手

大谷翔平

圧倒的なパワーがあるのに力みがない“自然体”

類いまれな身体能力の高さや、パワーがあるのに自然体という面が大谷翔平に重なる。ゴルフ界では、例えばタイガー・ウッズは最高級のスウィングではあるが、「作り込まれた」感じがあった。スニードほど自然体で振れている人はいない

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2025年10月号より