いま注目すべきスウィングを、連続写真で徹底分析。今回取り上げるのは、PGAツアー初優勝を最終戦で飾り、年間王者に輝いたトミー・フリートウッド。

PHOTO／Yoshihiro Iwamoto

解説／内藤雄士
日大在学中に米国へゴルフ留学。帰国後は数々のトッププロを指導、メディアでも活躍。ティーチングプロA級

両腕の三角形が
まったく崩れない

現代のボールストライカーでショットメーカー。練習ではスウィングプレーンの角度に合わせてスティックを地面へ刺して、両わきを締めながらコンパクトにプレーンをなぞっていく練習を徹底している、基本に忠実で大振りしないタイプです。

彼のようにわきを締めて、腕と体を完全に同調させたスウィングは可動域が制限されてしまうため、どうしても飛距離的なロスが生じます。ただ、彼はヨガが趣味で毎日ヨガをすることで体の柔軟性を高め、コンパクトなスウィングであっても十分な飛距離を生み出します。

アドレスで両わきを締めて肩と両腕の三角形を作ったら、胸の回転で始動していきます。その間、腕が上がっても三角形は全く崩れません。テークバックで右わきが右股関節を通り過ぎるまで体をねじったら、左足を踏み込んで下半身リードで腕を下ろしていきます。ハーフウェイダウンでベルトのバックルが左（飛球方向）へ向いているのに対して、胸はまだ右（飛球線後方）を向いたままです。ものすごいねじれ差ができていますが、これは体の柔軟性があるからこそ成せるわざ。

フォローでも腕の三角形が崩れていないのは腕を意識して使っていない証拠。その後、体がターンしたところで自然と腕をローテーションさせ、フィニッシュでも右と左のわきは締まったまま。これだけ徹底すれば『そりゃ、球は曲がらないな』と納得ですが、加えて彼の柔軟性と脚力が大きな飛距離を生み出しています。

彼はやっていることが長年変わらず、それが熟成されていっている選手。今後もショットが極度に乱れることはなく、息の長い選手になるはずです。

トミー・フリートウッドの1Wスウィング（正面）

トミー・フリートウッドの1Wスウィング（後方）

週刊ゴルフダイジェスト2025年9月23日号より