【人気連載アーカイブ】イザワの法則2015「アメリカ生活は自分にはぜんぜん合いませんでした」
世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」。今回は、伊澤がプロテスト合格してまもなくアメリカに渡ったときに、経験し感じたことを話してくれた。
「世界を見てこい」社長の一声でアメリカ行きが決定
GD 伊澤プロが日本ツアーで活躍する前の、アメリカでの修業時代について聞かせてください。
伊澤 わかりました。
GD そもそも、アメリカに行くきっかけは何だったのでしょうか。失礼ながら、伊澤プロの場合、ゴルフを始めるきっかけも、プロになる決断も、どちらかというと消極的で、とても将来、米ツアーでバリバリやりたかったとは思えないのですが……。
伊澤 ハハハ。ええ、まあその通りですね。PGAツアーに興味があったなんてことは、全然ないです。
GD では、なぜアメリカに?
伊澤 プロテストに合格して、所属した会社の社長のススメですね。「イザワ君、君は若いんだから、日本ツアーにこだわるより世界を見てきた方がいい。まずはアメリカで2、3年勉強してきなさい」という感じで。社長がそういうんですから、こっちとしては、「はい、わかりました」というしかないですよね(笑)
GD それで、すぐにアメリカに渡ったと。現地へは一人で?
伊澤 一応、会社の方で、日本語と英語ができる、通訳兼マネージャーみたいな人を帯同させてくれて、現地のミニツアーに出る手配とか、そういうのは全部やってくれましたね。プロテストに合格したのが4月で、10月にはもう渡米していましたから、結構、あわただしかったですけど。
GD 住まいはどうしたのでしょうか。
伊澤 最初はホテルに泊まっていて、少し向こうに慣れてからホームステイ先を決めて、そこを拠点にしました。
GD たしか、カリフォルニア州のオレンジカウンティでしたね。
伊澤 ええ、そうです。参加したミニツアーはカリフォルニアが主体なんですけど、ネバダとかアリゾナとかでも試合があったので、ちょうど中間地点的な場所を選びました。
GD アメリカでの生活自体はどうでしたか。
伊澤 自分には合わなかったですね(笑)。試合に出るのだって、試合から試合の移動が大変じゃないですか。車だとやたら時間がかかるし、かといって飛行機に乗ると、平気で2、3時間遅れたりするでしょう? もう勘弁してって感じでしたね、いつも。
GD 言葉の問題はどうでしたか?
伊澤 最初のうちは、簡単な英語くらいはしゃべろうとはしたけど、そのうち段々、面倒になっちゃって(笑)。目的はゴルフの勉強であって、英語の勉強じゃないわけですから、「無理するのはやめよう」と。ゴルフ場にいる限りは、英語が分からなくてもなんとかなりますからね。
GD 割り切り方が凄い。
伊澤 日本ツアーで活躍してる外国人が、全員、日本語が話せるかというと、そうじゃないでしょ? 言葉が話せるヨーロッパの選手がアメリアに行っても、成功するかどうかはその人次第。米ツアーで成績を出すのに、英語はすごく大事なようで、でも第一の要素じゃない。私はそう思います。
伊澤’s ワンポイント
アプローチの距離感は短い距離からの足し算で作る
Point 1
ボールをじっと凝視しないこと
ボールを凝視すると徐々に筋肉も硬直していく。ボールは視界の中にぼんやりとある、という程度に見ておけばいい。
Point 2
左手1本で構えると自然なハンドファーストに
伊澤利光
1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位(当時)の4位入賞。現在はシニアツアーを中心に活躍中
月刊ゴルフダイジェスト2015年9月号より