【イ・ボミのスマイル日和】Vol.9 日本に来て、クラブへのこだわりが強くなりました
イ・ボミのSmile日和
2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす!
TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki

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- 2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす! TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki イ・ボミ 1988年生まれ。15、16年賞金女王。日本ツアー21勝のレジェンド >>前回……
私、わがままなんで
みんな大変だったと思いますよ(笑)
プロゴルファーにとって大事なことの一つが、やっぱりクラブ選びですよね。今は本間ゴルフのクラブを使っているんですが、「なぜ本間を使い始めたの?」とか「どうして?」というのは、あまり話す機会がなかったかもしれません。
私が日本ツアーに参戦した2011年はキャロウェイのクラブを使っていて、翌年の2012年からはヨネックスに替えました。実は、その年のシーズンが終わるちょっと前に、ヨネックスと本間、両方のクラブをテストしていたんです。どちらもすごくいい感触だったんですけど、そのときはヨネックスにお世話になることにしました。結果的にその年はヨネックスのクラブで3勝できたので、「良かったな〜」って(笑)。
そんななかでも、やっぱり本間のクラブを打ったときの感触の良さはずっと頭の中に残っていて、翌年の2013年から本間ゴルフと用具契約を結ぶことにしたんです。決め手はやっぱり、クラブへの情熱とサポートの細かさ。この部分は本当にびっくりしました。
私のスウィングデータをすべて把握してくれて、それをもとにクラブを作ってくれていたんですけど、実際に使ってみて「ここはちょっと……」と思う部分があれば、どんなに細かいことでもちゃんと対応してくれました。今思えば、私はかなりわがままを言っていたと思いますよ(笑)。
クラブで一番こだわったのは、インパクトの瞬間にシャフトの先端が暴れないこと。打ったときに自分の中で「これこれ!」と感じることがあるんですけど、それにぴったり合うクラブをいつも作ってくれました。それから、私は手が小さいほうなので、グリップにもすごく敏感なんです。本間のツアー担当である井上友之さんにはいろいろお願いしていたんですけど、実は偶然にも彼の手の大きさが私とほぼ一緒だったんです(笑)。だから握ったときのフィーリングも似ていて、話がスムーズに進みましたね。アイアンは「バックラインありのグリップにしてほしいです」って、しっかり伝えていました。
改めて思うんですが、グリップの感覚って、本当に大事なんですよね。私が納得するまで何度も作り直してくれて、きっと本間の方々はすごく苦労されたと思います……。でもそのおかげで、韓国にいたときよりもクラブを見る目はぐんとレベルアップしたなって思います。
実は、韓国でプレーしていたときはそこまでクラブにこだわるタイプじゃなかったんです。でも日本に来て、フィッティングカーがたくさんあるのを見たり、いろんなクラブを作ってもらったりして、自然と知識が増えていきました。ありがたいことに、引退した今も本間ゴルフは契約を続けてくれています。
「日本ツアーで活躍した韓国人選手」というだけじゃなくて、「その後も支えていきたい」と言ってくれたんです。本当に感謝しかありません。今でもイベントなどに呼んでいただけて、日本とつながり続けられるのは、私にとってすごく幸せなことです。
ちなみにオフシーズンは、アメリカで合宿をしていたんですが、そこにも井上さんがたくさんのクラブを持ってきてくれて。本間のスタッフの方々もいっぱい来てくれて、気づいたら私の周りにすごい人だかり(笑)。それを見たアメリカの選手たちが、「あの選手は誰なんだ?」って不思議そうに見ていました。
あとで母から聞いた話なんですけど、韓国の先輩たちはその様子を見て、「コンジュガ オンダ!(お姫さまが来るぞ!)」って冗談を言っていたそうです(笑)。私自身は全然そんなふうに思ってなかったけど、きっと珍しい光景だったんでしょうね。それくらい、本間ゴルフのみなさんは全力で私を支えてくれました。そして私も、その気持ちに応えたいと思って頑張ってきました。本当に感謝しています。
月刊ゴルフダイジェスト2025年9月号より


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