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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.864「自分の強みを生かして磨きをかける努力を惜しまない人がツアーで長く戦う選手だと思います」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


飛ばなくても活躍する選手はいますが、稲森佑貴選手には曲がらない、青木瀬令奈選手にはパターという得意技があります。やっぱりツアーでは、そういう突き抜けたものが必要なのでしょうか。(匿名希望・HC12) 


毎シーズン優勝、賞金レース上位、それとも長年シードをキープすることか。

プロの世界でどのような状態を生き残ると考えるのかは、人によって違うかと思います。

ほぼ毎週開催されるトーナメントに出場して戦い続けていくには、それなりの体力と精神力が必要です。上がってナンボとか、飛ばせばいいものじゃないと言われることもありますが、飛ぶに越したことはありません。

ティーショットで50ヤード差があると、第2打地点からグリーン方向を見たときの風景はまったく違ってきます。

セカンド地点からは、別のゴルフを強いられることになります。

ピンまでの残り距離に応じて持つクラブが5番アイアンとPWでは、そのショットの確率の差が話にならないほど開いているからです。

プレーヤーによって飛距離の差はありますが、各人に求められるものとは何でしょう。


飛距離、正確な距離感と方向性、スピンコントロールの技術、アプローチの引き出し、抜群のパッティング技術、そしてメンタルの力……どれもプロには欠かせない要素です。

それでも、中にはツアー平均より下のスタッツもありながら、目立った成績を挙げるプレーヤーがいることも確かです。

ご指摘の稲森佑貴選手や、青木瀬令奈選手は典型的な例でしょう。

曲がらないで有名な稲森選手は、9季連続でフェアウェイキープ率1位を維持し、昨年は驚異の80%台となっています。

これまで5勝をマークしている青木瀬令奈選手は、4季連続で平均パット数1位をキープし続けてもいます。

稲森選手は169センチ、青木選手は153センチとツアーの中では小柄な体格でドライビングディスタンスは平均より下でトップとは40ヤード近い差があります。

ですが、この突出したものを持っていることで飛距離のハンディを補っていると思います。

もちろん飛ぶほうが有利ですが、プロがしのぎを削るツアーでは優勝争いの重圧下で、いかに平常心を保ちながら技術とメンタルの能力を発揮するかが重要になってきます。

飛距離には恵まれていないけれども、どうしてもプロになりたい! そう夢を抱くジュニアゴルファーも少なくないと思います。

では最低限どのくらい飛ばせるなら、飛距離が出ないハンディを補うワザを磨いて夢を追えるのか。

おおよそですが、女子ならドライバーで220ヤード、男子は270ヤードあればいいかと思います。

ちなみに編集部に稲森選手のスタッツを調べてもらったら、昨年のドライビングディスタンスは255.34ヤードで99位でした。

曲がらないことに加えてツアーで戦うための強い精神力があるのだと思いました。

飛ぶ球は曲がりやすいけど、飛ばないと曲がりにくいから風にも強い! と考えるくらい、考え方をプラスに持っていける思考があれば、必ず戦える選手になれるとわたしは思っています。

「良いほうに発想を変えること、普段からしていますか?」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2025年6月24日号より