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マスターズ制覇まであと1歩に迫った伏兵ザラトリス。スピースは「全然驚かない」

マスターズの切符を最後につかんだウィル・ザラトリス(24)が初出場で松山英樹に1打差の単独2位に入った。覚えておいて損はない超有望株だ。

「2年前ミニツアーを転戦していた僕がマスターズで2位。勝てなかったのは悔しいけれど、かなりクールだね」

ラウンド後、インタビューエリアでジョーダン・スピースとグータッチ。スピースは「全然驚かない。絶対来ると思っていたから」と24歳の後輩を誇らしげに祝福した。

祖父が空軍のパイロット、父と叔父もパイロット。サンフランシスコ生まれの彼が6歳でクラブを握ったとき、手ほどきをしたのがケン・ベンチュリ。ゴルフ環境の良いテキサスに移住すると、最初に親しくなったのが金髪をなびかせパットを決めまくるスピースだった。

14歳でラニー・ワドキンスから、たとえば12番パー3は風のチェックを3度すべし、といったオーガスタ攻略法を伝授され、17歳で全米ジュニアに勝ち、アーノルド・パーマーの出身校であるウェイクフォレスト大に入学。17年にはコリン・モリカワやキャメロン・チャンプ、スコッティ・シェフラーらと英米対抗戦ウォーカーカップのメンバーにも選ばれた。

しかし、仲間がプロ入りし次々と優勝するなかザラトリスはミニツアーで低迷。昨年ようやくPGAツアーのスペシャルメンバー(出場試合が限られる)に昇格すると、全米オープンで6位タイに入って注目された。以降コンスタントに上位に入り(予選落ちは1回のみ)マスターズで実力の片鱗を見せつけた。

「仲間が結果を出しても焦りはなかった。僕にもできると信じていたから。マスターズに勝つなんて大それたことを考えた自分が恥ずかしいと思ったこともある。それがバカげた夢じゃないことが分かってうれしい。実感はないけれど、しばらく余韻に浸りたい」

これで世界ランクは一気に27位。スター候補の誕生だ。

マスターズ制覇まであと1打に迫ったザラトリス。今後も目が離せない(PHOTO/Taku Miyamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2021年5月4日号より