【スウィング研究】石川遼「天才であることは間違いない。まだまだ世界で活躍できる選手」

いま注目すべきスウィングを、連続写真で徹底分析。今回取り上げるのは、昨年ツアー通算20勝目を挙げ、いまなお進化を続ける石川遼。
解説/合田洋
PHOTO/Tadashi Anezaki

大きな変化を経て
進化の途中
昨シーズンは2シーズンぶりの優勝を含む2勝を挙げ史上12人目の通算20勝を達成、年末にはPGAツアーQスクールに挑戦するなど高みを目指し続ける石川遼のドライバースウィングを合田洋プロに解説してもらった。
「昔は頭の位置を右へ少しシフトさせてからテークバックを開始するイメージでしたが、現在はそれが大きく変わっています。おそらく安定性を求めてのことですが、右のシフト自体は多くの選手が使う動き。
石川選手は調子がいいときはガンガン攻められるのに、調子が悪くなると飛距離がある分、球がブレてしまう。そのブレを抑えるために、右へのシフトを小さくして、トップも小さめにしたのだと思います。
バックスウィングでは、軸が右へシフトしないようにクラブを上げながら、右の股関節に体重を乗せてコンパクトな位置にトップを収めて、そこから地面を踏み込んで切り返します。以前より改善してきたとはいえ、左ひざが少し左に流れる傾向があります。この時点で腰がロックするので、上体の動きが強くなってしまい、結果的に曲がりやすくなる。
また、インパクト前からフォローにかけての両ひじの高さですが、松山英樹選手はほとんど変わらないのに対して、石川選手はフォローで左ひじが上がるのが早く、右ひじが明らかに左ひじより低くなっています。この2つの動きを修正できれば、飛距離がさらに伸びて、彼が課題にしているであろう球の安定にもつながるはずです。天才であることは間違いないので、自分の課題の原因がどこにあるのかに気付けるかだけ。
石川選手はとても素直な性格なようで、いろいろな意見や理論を聞いて、良いと思ったことは自分に取り入れようとしてきたはず。ただ、局所だけをかいつまんでもなかなかうまくいかないこともある。自分の課題へブレずに取り組むことができれば、まだまだ世界で活躍できる選手です」
週刊ゴルフダイジェスト2025年2月25日・3月4日合併号より