上がり3ホールでドラマが起きる! 「ウェルズ・ファーゴ選手権」はここに注目
TEXT/Masato Ideshima PHOTO/Tadashi Anezaki ILLUST/Takanobu Okabe
今週開幕の「ウェルズ・ファーゴ選手権」の舞台となるクエイル・ホロークラブは、選手たちがこぞって「難しい」と口を揃える難コース。真の実力者だけが勝てるトーナメントを掘り下げる!
解説/杉澤伸章
すぎざわのぶあき。プロキャディの経験をもとに独自の視点でトーナメントを分析する
まぐれで勝てるほど
やさしいコースじゃない
ノースカロライナ州にあるクエイル・ホロークラブは個人的にものすごく好きなコースです。めちゃくちゃ難しくて、キャディとしてやりがいを感じるコースのひとつですね。ショット力はもちろん、マネジメント力など、すべてにおいて高いスキルが求められるので、ここではまぐれがありません。ここ5年のトップ10には必ずメジャーチャンプが名を連ねていることからも、いかに難しいかが伝わってきます。メジャーで勝てるだけの総合力がなければ、ここでは上位にいけないということになります。
特に難しいのがグリーン周りです。選手たちは常に外し場所を探し、安全に打てる場所を見つけて攻めるわけですが、ここにはそれが存在しないホールがいくつもある印象です。どこに外しても難しいアプローチが残る。だからこそ、その前のショットへの比重が大きくなります。さらに言えば、ティーショットの正確性も非常に大事になってくるわけです。
このコースで勝つための最大の難関が最後の3ホールです。それは、2019年大会のデータを見ても明らかで、4日間通して最も難しかったのが17番、その次が18番、3番目が16番。つまり、最後の3ホールが難易度1、2、3位となっているわけです。平均スコアは17番が3.286(パー3)、18番が4.275(パー4)、16番が4.221(パー4)。終盤でリードしているからといって簡単に逃げ切れるコースではないということです。逆に追いかける選手にとっては終盤で必ず何かが起こると予測できるため、クラブハウスリーダーで上がることの意味が非常に大きくなります。どれだけ粘り強くプレーできるかが終盤の3ホールでは求められます。
選手たちもここを訪れると相変わらず難しいコースだという話をよくします。ただ、不公平のないコースだけに、選手たちもここでプレーする楽しさを感じていることも事実。今年も面白い戦いが見られるはずです。
杉ちゃんのコース解説
「飛距離が出なきゃ勝負にならない!」
1番 | 2番 | 3番 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 |
Par4 | Par4 | Par4 | Par3 | Par4 | Par3 | Par5 | Par4 | Par4 |
512Y | 463Y | 471Y | 155Y | 438Y | 236Y | 529Y | 315Y | 501Y |
10番 | 11番 | 12番 | 13番 | 14番 | 15番 | 16番 | 17番 | 18番 |
Par5 | Par4 | Par4 | Par3 | Par4 | Par5 | Par4 | Par3 | Par4 |
582Y | 450Y | 468Y | 181Y | 331Y | 569Y | 511Y | 229Y | 500Y |
<1番・512Y・Par4> いきなり難度が高いパー4
500ヤード超えのパー4。打ち下ろしで2打目が左足下がりの難しい状況。
<7番・529Y・Par5> 2つで狙えるが厄介な罠が
2オンが可能だが、右サイドの池が気になる。勇気をもって狙う必要がある。
<8番・315Y・Par4> 絶対にバーディがほしい
短いパー4でグリーン近くまで運ぶ選手が多いはず。最低でもバーディが求められるキーホールのひとつ。
<10番・582Y・Par5> 刻んでも難しいパー5
グリーンが奥に向かって速く、グリーン周りのアプローチでスコアを作りにくい。
<16番・511Y・Par4> ここをパーで乗り切りたい
右のバンカーを越えることができればかなりホールを広く使えるがリスクも高い。
<17番・229Y・Par3> ギリギリ狙うかしないパー3
距離が長く、グリーンに止めるには池越えギリギリを狙うしかない。グリーンが奥に向かって速いのも厄介。
<18番・500Y・Par4> 左サイドのクリークが脅威を与える
左サイドはグリーン横までクリークが走っているため、セカンドショットのプレッシャーもかなり大きい。グリーン右のバンカーのアゴが高く、そこに入れるとクリークに向かって打つショットが残る。最終ホールは必ずドラマが起きる。
杉ちゃんの“勝手にパワーランキング”
1位 ジャスティントーマス
●1993年4月29日生まれ
●27歳
●米ツアー14勝
「2017年に勝っている実績があり、総合力という点でもコースとの相性がいい」
2位 ザンダー・シャウフェレ
●1993年10月25日生まれ
●27歳
●米ツアー4勝
飛距離が出てショット精度も高い。マネジメント力もあり、勝つために必要な要素は十分。
3位 松山英樹
●1992年2月25日生まれ
●29歳
●米ツアー6勝
抜群のショット力は難しいコースでこそ力を発揮。マスターズ制覇の勢いそのままに優勝が期待される
松本進のスウィング解説
ザンダー・シャウフェレ
「トータルバランスが優れている」
178cmとPGAツアーの中では小柄ながら飛距離が出る理由は、もちろん体の強さはありますが、それを上回る“バランス力”にあります。体の左サイドの安定感がピカイチで、アドレスとインパクトの腰の位置が変わらない、見事なスウィングですね。ダウンではインサイドからクラブを下ろし、ドローで飛ばしています。
スウィング解説/松本進
1986年より渡米し、最新のゴルフ理論とスポーツサイコロジーを学ぶ
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「ウェルズ・ファーゴ選手権」放送日時
1日目 5/6(木)深夜3:00~翌午前7:00
2日目 5/7(金)深夜3:00~翌午前7:00
3日目 5/8(土)深夜2:00~翌午前7:15
4日目 5/9(日)深夜2:00~翌午前7:15
※最大延長:[3日目]午前8:00まで [最終日]午前11:00まで)
※全ラウンド生中継。当日夜再放送あり
月刊ゴルフダイジェスト2021年6月号より