【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.211「3試合増! シニアツアーの満足度が高いワケ」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
今年のシニアツアーは、新規の大会3試合を含む16試合が開催されることになりました。その新規大会の一つが開幕戦の「ユニテックスシニアオープン」で、僕が所属する宝塚クラシックゴルフ倶楽部で3月29日、30日に開催されます。
先日もコースのメンテナンスのことで打ち合わせをして、すでに整備はあらかたできております。ただ当日に、バンカーに、入れたてのサラサラの砂と固まってカンカンの砂とがあったらちょっと選手も戸惑うやろうから、直前までそういうメンテナンスは続けなあきません。
男女ともレギュラーツアーは前年と同じ試合数なのに、シニアツアーはなんで3試合も増えたんかいう声を聞きます。前から言われておることですが、プロアマでお客さんに楽しんで満足してもらえていることが一番やと思いますね。
レギュラーツアーのときのように翌日の試合の調整をすることもなく、選手はお客さんと楽しむことを一番に考えてます。プロアマ後のパーティで、会長が参加者の方に「皆さんプロアマを楽しんでいただけましたか」と聞くと、必ず大拍手が起こります。大会を開催してよかったいう声がなければ、新規大会を開こうというスポンサーも現れんわけですから、これが一番大きい思います。
一方で、シニアツアーが一般の方から一定の評判を得ているんは、最近の“ツアー化”が要因やと思います。以前は初日が終わった後に練習場に行くプロはほとんどいませんでした。今は夕方の練習場はいっぱいです。
僕らよりひと回り以上下の人がどんどん出てきて雰囲気は変わり、ツアー特有の緊迫感や技術の高さも楽しめるようになった。もちろん60歳以上の人も、ライの悪い場所から打つ技やアプローチの妙技を披露しとります。
ただ、そういう“いぶし銀の技”をレギュラーツアーの選手のようにじっくり時間だけかけてやっておっては、年寄りの寄り合いの一芸になってしまう。時間はかけずにサッとやり、その後でギャラリーの驚きの声に応えて、「今のはこう打ったんでっせ」と一言添える余裕こそ、シニアのツアー人気につながるパフォーマンスやなと思います。
「2025年も熟練シニアたちの余裕ある一芸を見てほしいもんですね」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2025年1月28日号より