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【新春インタビュー】竹田麗央<後編>「1年間いろんな経験をして、自分のゴルフがレベルアップしたらいい」

2025年からアメリカツアーに参戦する、年間女王・竹田麗央。新たな舞台への意気込みと、竹田を支える地元・熊本での“麗央愛”溢れる声を聞いてみた。

PHOTO/Norimoto Asada、Shinji Osawa

竹田麗央 2003年熊本県合志市出身。ヤマエグループHD所属。6歳でゴルフを始め、熊本国府高校卒業後2021年プロテスト合格。趣味は野球観戦、キャッチボール。“推し”の選手はオリックスの山下舜平太

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「全部、自分で見て
考えて、修正します」

竹田の武器は飛距離だ。もちろん、自信もある。だからこそ、ドライビングディスタンス1位にはこだわっており、実際263.19Yで獲得した。計測ホールでは「気合いを入れすぎると本当にその場で曲がったりするので、なるべくいつも通りにするように心がけていました」。飛ばすために必要なことは、振り切ること、芯に当てること。いたってシンプルだ。

今の時点では、スウィング改造も筋トレも、必要性を感じていない。

「調子が悪いときは、動画を撮ったりして、いつもと違うところを見つけたりしてやっています」。自分で見て確認して修正する。もちろん母に助言も求める。自分で気づかないことを指摘してもらえるから。

しかし、ランニングだけは「体力のために」続けている。シーズン中は20分、オフは1時間、近所の公園などを走る。「4日間戦う体力がつき、集中力を切らさずできるようになりました」。筋トレは「キツいから」やらないが、ストレッチや体幹トレーニングは行う。今年の結果につながったショートゲームの強化も続けていく。「練習の最低7割の時間は割いていきたい。スタッツが悪かったバンカー練習も強化したいです」。


今、自分に必要な課題が見えている。それをいたってシンプルにとらえて、シンプルに取り組む。

竹田は、ゴルフショップを経営する父(道具面)、プロゴルファーの母(技術面)のアドバイスを受けながら、フェードヒッター、ダスティン・ジョンソンのダウンの手首の折り方やローリー・マキロイの振り切るフィニッシュのスウィングを見て、自分でゴルフを作り上げてきた。

「口数が多いタイプではないので、口に出したことはもう、決まっているなあという感じです。好きなことは好きなだけやってほしい。そこに向かって準備していってほしい」(父・宜史さん)

「昔から走ることなども1番になりたがった。あまり外では出さないけど、車に乗ったり家に帰ったときはバーッと泣いたりもしますよ」(母・哲子さん)

竹田は、2025年、アメリカを舞台に戦う。母が帯同し、キャディは米ツアーから紹介してもらうという。周りからアドバイスされた炊飯器を持って行き、出られる試合は全部出る予定だ。小さい頃から試合観戦したりプレースタイルを見てきた同郷の大先輩、上田桃子からは「英語は話せたほうが絶対楽しい」と言われたそうだ。学生時代、英語だけは得意だったというが、「今はまったく勉強していません。まあ何とかなるかなと。ふふふ。向こうのコース研究もまだしていないけれど、あんまり考えても仕方がない。でもいろいろなコースでプレーできることは楽しみです。1年間いろんな経験をして、自分のゴルフがレベルアップしたらいい」

「ミスしても死ぬことはないですから」と言う竹田はきっと、マイペースで負けず嫌いで、鈍感力で楽しみながら戦っていくのだろう。

2025年も、運と実力を引っ提げて、どこまでも突っ走れ!

「小さい頃から真面目で
よう飛んどった」(熊本の皆さん)

「熊本にはアツい人が多いんです。練習場でも、初優勝する前はおじさんたちに『早く勝たんね』と言われて。勝ったら『早く2勝目!』なんて厳しく。3勝したらやっと『すごいね』って(笑)。今は、『おめでとう』と言ってくださる方が増えた。頑張ってきてよかったです。厳しいことはもう言わないですね。ふふふ」

竹田は、多くのプロを輩出してきたゴルフ王国熊本の“熱”を語る。

竹田が育った龍田ゴルフ練習場はホームコースのくまもと中央CCと同じく「オーイ! とんぼ」の舞台にもなった。井嶋康博さんは「体格は小学生当時から大きかった。練習は真面目で、高校時代からは走って行き来も。素晴らしいフェードボールで一般の男性と変わらないくらい飛距離は出ていました」

心技体を磨いた“とんぼ”の聖地
「龍田ゴルフ練習場」

この地で50年、30年以上前に改築され、可愛いハウスの前には、とんぼファンが「聖地巡礼」として写真撮影に訪れる

母、哲子プロがジュニアレッスンをしていた。時計は平瀬姉妹から寄贈されたもの

挨拶も礼儀もきちんとしていた。プロテスト合格時と初優勝時の挨拶も手書きのはがきで

「お母さんと平瀬真由美プロもここで練習していて娘さんも来るように。毎日2~3時間、ストイックに打っていました」

バンカーやアプローチ練習場、天然芝のグリーンもある。「ここでも一生懸命しょっちゅう練習していました」

所属ヤマエの“麗央愛”が溢れる
「津浦ゴルフアリーナ」

TOTOでのウィニングパットの等身大看板と一緒に。社員の皆さんは皆明るい。昨年12月に全面リニューアル。最新のトラックマンレンジを備えている

所属するヤマエが経営し竹田も練習に通う津浦ゴルフアリーナは“麗央愛”に溢れている。梅田穣さんは「会長がお父さんのショップのお客さんだった関係で、麗央プロを応援するようになって。いつもニコニコ、ほわっととしていますけど、来たときは一生懸命サインなどしてくれます。アメリカに行くと寂しいけどあの飛距離と体力があれば向こうでも勝つ可能性は高いですよね」

熊本の愛も受けて、麗央はここからまた成長していく!

RIO’s 打席

2階の54番打席は竹田専用。10ヤード刻みの看板を正面にして練習できる。遠くに阿蘇山が望めるのも麗央好み!?

RIO’s ルーム

会長の肝入り「RIOルーム」には、本格的なトレーニング用のマシンが鎮座する

RIO’s 看板

練習場入口の看板は、優勝のたび8回上書きされた。「そのたび予算が……嬉しい悲鳴です」

週刊ゴルフダイジェスト2025年1月7・14日合併号より