【スウィング研究】岩井千怜の“直ドラ”「アップライトなスウィングは直ドラに不向き?」
今季のツアーで直ドラショットを披露した、ジャスティン・ローズ、岩井千怜、岩井明愛の3選手の技術を合田洋プロが解説。
PHOTO/Tadashi Anezaki
解説/合田洋 1994年、国内メジャーの日本プロゴルフ選手権に優勝。ツアーを退いてからはレッスンプロの資格を取得、東京の八丁堀と茅場町で自ら主宰する「Gスタジオ」でレッスン活動を行いながらスウィングの研究を行っている
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無意識に球をつかまえに
いきやすい
マスターズGCレディース最終日。1番でティーショットをフェアウェイに置くと、2打目で直ドラを選択した岩井千怜。千怜は昨年優勝したRKB×三井松島レディスのプレーオフで、姉の明愛と山下美夢有と優勝争いをするなか、明愛が直ドラをしたのに触発されて練習でもほとんどしたことがなかった直ドラにチャレンジ。結果、そのショットが優勝に結び付いたが “直ドラ歴”はまだ1年ほどと経験が浅い。
「この直ドラはおそらく右に曲げてしまったミスショットだと思います。普段のスウィングではまず見られないのですが、ダウンスウィングからフォローにかけて体重が左に乗り切らず、右に残ったままで体の起き上がりが早い。おそらく球をつかまえようと腰の動きを止めてしまったため、上体が浮いてしまったのではないでしょうか。
本来の千怜選手は基本に忠実なスウィングの持ち主。ハーフウェイバックの手の動きは完璧で、振りだしも良くて、足も使えている。ヘッド軌道もアップライトで高い位置から手を落とし効率的にクラブを加速させることで飛距離に繋げています。
ただし、トップでシャフトがクロス(シャフトがターゲットの右を向く)気味で、カウンター的な動きも入らないので右へのミスが出やすい。バックスウィングでヘッドの向きがシャットなのも、スライスを警戒してのことでしょう。先に説明しましたが、直ドラは右に飛んでいきやすいため無意識に球をつかまえにいってしまい、それがこの1打のミスに繋がったんだと思います。
基本がしっかりしているので大崩れはありませんが、まだまだ改善の余地はあります。逆に言えば、一つの動作を改善するだけで、安定感がさらに増すはず。直ドラの場合、アップライトなスウィングだと打ちにくいので、この後に説明する明愛選手のように右ひじを低く保つようにすると、もっと得意になるはずです」
岩井千怜の直ドラスウィング
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週刊ゴルフダイジェスト2024年12月17日号より