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【江連忠のPROJECT E】Vol.253 ペイン・スチュワート「腕力に頼らない“柔らかさ”が最大の魅力」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/GD写真部、Hiroyuki Okazawa THANKS/オーシャンリンクス宮古島

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●今月のレジェンド●

ペイン・スチュワート

1957年米国生まれ。PGAツアー11勝(メジャー3勝)。愛国心が強くPGA屈指の人気者だった。1999年の全米オープンの4カ月後に飛行機事故で他界。享年42歳


シニアでも長く
活躍できたはずのスウィング

ペインにはアメリカにいたときに何度か声をかけてビデオや写真を撮らせてもらいましたが、とても気さくなナイスガイで大好きな選手でした。

その人柄、容姿、ファッションまで含めてすべてが格好いいエンターテイナーで大人気だったのも納得です。

スウィングに関してはプレーンがきれいというわけでもないし、キレや迫力もなかったものの、「柔らかさ」が最大の魅力でした。

とくに下半身はインパクトまで完全にベタ足にもかかわらずひざはよく動いて下半身リードで振っています。


この写真はそれほどではありませんが、ペインといえば右足のつま先を左足よりも開いて構えていたのが印象に残っています。

そのスタンスだとバックスウィングで体が回りやすく、インパクトは体の正面で球をとらえやすくなります。

ダウンスウィングでは腕力に頼らず、重力と遠心力を使ってヘッドを走らせているところも見習うべきポイント。

もしあの不幸な事故がなければシニアになっても長く活躍したであろうスウィングです。

ファッションでも魅了するエンターテイナーだった

腕力で振らずにヘッドを丸く走らせる

力んだ腕を伸ばしながらクラブを大きく振ろうとすると、かえってヘッドは走らない。手首を固めずに脱力して、遠心力に任せてヘッドの後から体が付いていくイメージがいい

ペイン・スチュワートのスウィングと共通点の多い日本選手は…

岡本綾子

脚でリズムを取るから再現性が高い
フォローで右ひざを柔らかく送りながら腕は脱力してヘッドを走らせている部分が共通点。脚を動かして上半身は静かに見える独特のリズム感も似ている

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2024年11月号より