【陳さんとまわろう!】Vol.253 記録的スコアは、狙いすぎるとなかなか出ないものなんです
長年のプロ生活で、数々の記録を持つ陳さん。今回は、その記録について語ってくれた。
TEXT/Ken Tsukada ILLUST/Takashi Matsumoto PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/河口湖CC、久我山ゴルフ
海外の試合に出て
予選落ちがない
――陳さんがホールインワンを16回も出したり、アルバトロスを2回も出したりと、凄い記録を持っていることが前回の話でわかりましたが、もっとほかにも自慢できる記録を持っているんですよね。
陳さん どうかなあ。たとえばゴルフ場のコースレコードをたくさん持っているとか、海外の試合に出場して予選落ちしたことがないとかありますけど、これって記録?(笑)
――コースレコードは霞ヶ関(CC)東で65、相模原(GC)東で68、武蔵(CC)笹井で65などなど、十指に余るゴルフ場でかつて記録していましたね。ちなみに、これは1969年版の「全国ゴルフ場ガイド」情報です。
陳さん アハハ……、ずいぶん古いのを持っているね。財産だよ。予選落ちしたことがない海外の試合はまずマスターズでしょ。6回連続出場して予選落ちはないよ。それから全英オープンだ。これはロイヤルリバプールとセントアンドリュースの2回出場して予選落ちなし。アメリカではハワイアンオープンに2回、ヒューストンオープンに2回出場して予選落ちなしだ。考えてみりゃ立派なものじゃないの?(笑)それからワールドカップに11年連続で出場していますけど、これも記録といえば記録かもね。
――一人の同じ選手が11年も代表で出場しているのは、調べた限り陳さんだけです。
陳さん そうですか。まあ確かにほかの国の代表選手は毎年のように代わるから。それからそうよ、エージシュートはずいぶんやってますよ。回数は覚えていませんがね、試合で出したものだけでも多いはず。
――プライベートのラウンドではしょっちゅう出していても、試合でとなると、なかなか出ないでしょう。
陳さん 最初に出した試合は私の記憶とは違っていて、サンヒルズ(CC/栃木)でやったオールドマンパーシニアオープン(2004年)ということになっているんだね。72歳のときに、第2ラウンドを71で回ったって。わたしは68歳のときに関東オープンで出した68が最初だと思っていましたが、記録には残っていないんだねえ。エージシュートは年を取れば出やすくはなりますけど、一方で力が落ちたりしますから、出すのはそう簡単ではないわけよ。
――シニアツアーの記録を見ると、2010年の関東プロゴールドシニア(ザ・CC・ジャパン/千葉)の2ラウンド目に71を出していますね。年齢が78歳。なんと7アンダーです。凄いです。
陳さん アハハ……。そのときは最初のラウンドでも75を出してエージシュートだったんですよ。2日間競技で2日ともでしたから、調子が良かったんでしょ。でも上には上がいてさ、69歳の謝敏男がセカンドラウンドで68のエージシュートを記録して優勝したよ。ある程度の年齢になるとプロは優勝よりもエージシュートを狙うものなのよ。優勝には対戦相手がいますからそのときの運もありますけど、エージシュートは自分だけの問題ですから運は関係ないでしょ。ただ、狙いすぎるとかえって出ないものでさ。淡々と気持ちよく、余計なことは考えずに、力まないでプレーしていると意外といいスコアが出るものなんだね。振り返ってみるとコースレコードやエージシュートはそういうときに出ていたはずよ。
陳清波
ちん・せいは。1931年生まれ。台湾出身。マスターズ6回連続出場など60年代に世界で日本で大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くのファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきた
月刊ゴルフダイジェスト2024年10月号より