【江連忠のPROJECT E】Vol.252 ベルンハルト・ランガー「型にはまらない“球筋重視”のスウィング」
片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/GD写真部、Blue Sky Photos THANKS/オーシャンリンクス宮古島
●今月のレジェンド●
ベルンハルト・ランガー
1957年ドイツ生まれ。欧州ツアー42勝、チャンピオンズツアー46勝。米シニア最多勝利や最年長勝利(65歳)などの記録保持者。85年マスターズ優勝時に赤いウェアを着ていたことから「レッドバロン」(赤い男爵)と呼ばれた
型にはめないということは
感性が磨かれる
真面目で寡黙な職人タイプだったので、同時期に活躍していたセベ・バレステロスやニック・ファルドの華やかさの陰に隠れていたランガー。
パターイップスを抱えながらもアプローチの上手さでカバーして勝ち続けました。
スウィングに関してはかなり個性的。
左手がフックグリップなのに右手は上から持っていたり、インパクトの手の位置が高いし、フェースローテーションは大きく、左肩の位置が高いトップで横振りなのにヘッドは鋭角に入ったりと、アマチュアの参考になる部分はあまり見つかりません。
自分のスウィングをあまり見ないで型を作らず、球筋重視で練習する人がこういう個性的な打ち方になりやすいです。
格好良くはないですが、見た目を気にしない強さがあり、再現性が高くなるため自分に自信が持てます。
しかも球筋重視の人は感性がどんどん磨かれるという側面もある。だからこそ長く活躍できるのだと思います。
左腕とグリップを鷲づかみする変則クロスハンドグリップ
イップスを抱えながらも勝ち続けられたのはあらゆる握り方を試して独自のスタイルを築き上げたから。左腕とグリップを右手で鷲づかみにする変則的なクロスハンドのアームロックスタイルは、手首の動きを封印できた(※現在はアームロックは禁止されている)
ベルンハルト・ランガーの系譜を継ぐのはこの選手
スコッティ・シェフラー
球筋重視でスウィングを作ったタイプ
現代の主流とされているスウィングとは重なる部分がないシェフラーも、球筋からスウィングを作ったタイプ。感性が優れているから距離の打ち分けも上手い
江連忠
1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた
月刊ゴルフダイジェスト2024年10月号より