【全米女子オープン直前】ネリー・コルダ、リリア・ヴ…世界のトップランカー5人の最新スウィング
いよいよ5月30日から全米女子オープンが開幕! そこで今回は、ネリー・コルダをはじめ、優勝候補と目される世界のトップランカー5人のスウィングを、南秀樹プロが解説!
PHOTO/Blue Sky Photos、Getty Images
※世界ランキングは2024年5月10日時点のもの
解説/南秀樹
みなみひでき。1974年生まれ香川県出身。指導している木村彩子が全米女子オープンに出場予定
今年の舞台はランカスターCC
米ペンシルベニア州にあるランカスターCC。2015年にも開催され、韓国のチョン・インジが優勝。大山志保が5位タイに入る活躍を見せた
世界ランキング1位 ネリー・コルダ
1998年生まれアメリカ出身。東京オリンピックの金メダリスト。姉もプロゴルファー、両親と弟はテニス選手というスポーツ一家。今シーズンは史上3人目の出場5連勝など圧倒的な力で米女子ツアーを牽引
身長の割にフラットな
軌道で飛ばしている
ネリー・コルダは178センチの長身でありながらクラブを緩やかな軌道で下ろし、さらにはローテーションを積極的に使いながら飛ばしていますね。
長身の選手は総じて縦振りになりがちなのですが、彼女は頭の使い方で軌道を緩やかにしています。写真を見るとわかりますが、彼女はボールをずっと“右側”から見ています。普通、このような頭の使い方をするとダウンスウィングで右肩が下がり、クラブが下から入りやすいですが、右肩を高い位置に保ち、下から入りすぎないように上手く軌道をコントロールしていますね。この動きで長いインパクトゾーンを実現しています。
もうひとつの特徴であるローテーション。今はローテーションを抑えたスウィングが主流ですが、彼女は手首を積極的に使っています。フォローでは手を返していますが、決してこねるような動きではありません。フェース管理の方法は人それぞれですが、彼女にとってはこれだけローテーションを使ったほうがフェースを上手く管理できるということでしょう。
緩やかな軌道で高い再現性を担保しつつ、フェースローテーションによってインパクトでボールを押し込み、飛距離を生み出しているのでしょう。
右ひじは伸びても右手首の角度はキープ
「インパクトで右ひじが伸びているんですが、こうなるとだいたい右手首の角度もほどけてしまう。右手首の角度が保たれているのはさすがですね」
クラブがキレイにインサイドから入る
切り返しからダウンスウィングにかけて胸が右を向いている時間が長い。この動きにより、クラブを下ろすスペースが確保されインサイドに下りてくる
世界ランキング2位 リリア・ヴ
1997年生まれ。アメリカ出身。通算4勝
左体重ながら回転量がすごい
終始左軸でスウィングをしている選手です。左軸にすると、バックスウィングで体が回りにくく、トップが浅くなりがちなのですが、彼女は右ひざを伸ばしながら上げることで回転量を確保しています。しっかりと体が回転できているので、ダウンスウィングではインサイドにクラブを下ろすことができる。過度な体重移動がなく軸のブレが少ないので、どんな時でも同じように振ることができるはずです。右ひざを伸ばして上げる動きは、体が回りにくくなったアマチュアにもおすすめです。
世界ランキング3位 セリーヌ・ブティエ
1993年生まれ。フランス出身。通算6勝
両ひざの使い方で軌道をコントロール
回転を上手く使って飛ばす選手ですね。特に、ひざの使い方が抜群に上手い。大きなニーアクションはありませんが、ダウンスウィングでひざを曲げながら上体を沈み込ませ、インパクトにかけて今度はひざを伸ばしながら回転していく。ひざの幅が変わらないところを見ても、横の動きというよりは縦の動きを上手く使っていることがわかります。このひざの使い方により、ダウンスウィングで右肩が高い位置に保たれ、キレイに回転ができるというわけです。日本人に近いスウィングをしますね。
世界ランキング4位 イン・ルオニン
2002年生まれ。中国出身。通算2勝
ひざの間隔が変わらない!
まるでPGAツアーの選手のような体の強さを感じる、迫力のあるスウィングです。ややフラットなトップですが、体の締まりを感じるので、見るからにクラブを引っ張っていけそうな雰囲気がトップの時点であります。ダウンスウィングでは右腰を最後の最後まで我慢させて、インパクトで一気に回転していく。この粘りがあるからこそ、飛距離だけでなく安定性も出せているのでしょう。迫力はあるのですが、アドレス、トップ、インパクトでひざの位置がほぼ変わらない。体の軸がしっかりしています。
世界ランキング5位 コ・ジンヨン
1995年生まれ。韓国出身。通算15勝
下半身で体をターンさせる
一番の特徴は右ひざですね。インパクトにかけてかなりボール方向に出ています。右ひざが出るのは、彼女の場合、決して悪い動きではありません。ただ、右ひざが出て、左腰が引けて左ひざが割れるような動きになると上手くターンすることができなくなってしまうので、そうなると注意が必要です。彼女の場合は、左ひざの踏ん張りが強烈で壁のようになっている。この踏ん張りのおかげで右ひざが出てもスムーズに体を回転できています。地面反力ではなく、かなり重心の低い回転スウィングですね。
月刊ゴルフダイジェスト2024年7月号より