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なぜシェフラーはこんなに強いのか!? 識者4人が徹底解説<前編>「バーディ率もボギー回避率も1位という凄さ」

今年のマスターズチャンプ、スコッティ・シェフラーの勢いが止まらない。なぜこれほど強いのか、識者4人が徹底解説してもらった。

PHOTO/Blue Sky Photos

スコッティ・シェフラー 1996年生まれ。米ニュージャージー州出身の27歳

<解説>
レックス倉本……プロゴルファー/ゴルフ解説者。高校卒業し渡米。オールアメリカンにも選出
内藤雄士……日本プロゴルフ協会A級ティーチングプロ/解説者。レッスン、解説ともに人気
佐渡充高……ゴルフ解説者。新聞記者を経て渡米。18年間アメリカに在住しPGAツアーを取材
タケ小山……プロゴルファー/ゴルフ解説者。大学卒業後、プロゴルファーとして渡米。ラジオDJも

バーディ率もボギー回避率も1位!

シェフラーの今年の成績は圧巻。その活躍ぶりを「冗談のようなことをやってのけている」と表現するのは解説者の佐渡充高だ。今年、全米プロまでに出場した試合での勝率は4割、トップ10率9割。下のスタッツ表をチェックすればわかりやすいが「シェフラーはバーディ奪取率1位で、かつボギー回避率1位でもあるんです」(佐渡)。

バーディを狙えばもちろんチャレンジングな場面も増えリスクも高くなるはずだが、この二律背反を打ち破っているのが今のシェフラーだ。「同例で言えば、2000年のタイガー・ウッズは飛距離1位で、フェアウェイキープ率も良かった」。数字を見れば、全盛期のタイガーに迫っているとも言える。

シェフラーのスタッツ推移

ここ3シーズンで飛距離は徐々に落ちているが、FWキープ率100位→7位、平均パット数も昨年38位→1位と一気にジャンプアップ

10試合で驚異の勝率40%!

5月15日現在、シェフラーは10試合出場のうち4勝、トップ10を外したのは1回だけ。RBCヘリテージの後は妻の出産付き添いのため出場せず、5月16日からの全米プロで復帰した

シェフラーという選手の特徴を挙げるとき、いの一番に言われるのが変則スウィングだ。「インパクトからフォロスルーにかけて両足が左へ動きますよね」とタケ小山。だが「この変則は理にかなっている面もあります。彼はフェードヒッターですが、アップライトに上げてインサイドアウトの軌道を描く。この場合、左サイドの壁が堅固すぎると逆球のドローになることもある。左の壁をちょっと逃がすことでこれを防いでいます。グレッグ・ノーマンもこの摺り足打法でしたね」

内藤雄士も技術面でのシェフラーの強さについて「逆球が出ないこと」を真っ先に挙げる。「あそこまでフェードがコントロールできれば、それは勝てるでしょう。今や、ドローヒッターだったマキロイやシャウフェレも今年はフェード球を主体にしています、もはやフェードはPGAツアーのトレンド」。そのトレンドの火付け役がシェフラーなのではという見立てだ。

そして、シェフラーの強さを読み解くうえで、欠かせないのがパットだ。昨シーズン、平均パット数は100位に沈んでいるのに、今季は19位にまで上がっている。定評のあったショット力に加え「今年のアーノルド・パーマー招待でパットも覚醒しましたね」(佐渡)。まず、春先、パターをブレード型からマレット型にチェンジ。ストロークの再現性が高まった。さらに、パッティングコーチがスタンスラインと肩のラインのズレに気づき指摘。すぐに修正すると、一気に調子が上向いたという。そのズレはミリ単位の次元の話だが「スタンス時のミリ単位のズレが10メートル先では何センチかになってしまいますからね」(佐渡)。ミリ単位の修正でセンチの違いを調整することに成功。ショットという武器にパットも武器として加わり、鬼に金棒。

ちなみにシェフラーは2020年に結婚しているが、妻のメレディスさんは高校の同級生で、先日、第一子となる男の子が誕生したばかり。ゴルフの技術が無双状態なうえ、プライベートも充実。公私ともに絶好調なのだ。

5月15日には、妻メリディスさんとの間に第一子が誕生。まさに幸せの絶頂だ(写真は2022年アーノルド・パーマー招待優勝時のもの)

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週刊ゴルフダイジェスト2024年6月4日号より